○商品
未来社(刊)、1979年3月10日第一刷発行、247ページ、定価1800円(当時)
○はしがきより
この得体のしれない不可思議な時間が何であるのかわらからないにしても、人間はそれをたえず意識しながら生きてきた。そしてその意識は民族によっても、時代によっても異っていよう。本書はそうした古代日本人の時間意識を個々の文学作品の中に探ろうとしたものである。したがって「時間とは何か」という哲学的な命題を直接的に追求したものではない。むしろ時間という抽象概念を持たなかった古代人の文学作品の中に、この具体的な意識がどのように表現されているかをさぐっていくものである。
○目次より
はしがき 1
1 記紀の現われた他界観念と時間意識 13
2 記紀に現われた夜と昼の世界 34
3 四季と祭の時間構造――円環的時間について―― 47
4 「世」と「世の中」という語に現われた時間意識 56
5 挽歌における時間意識――生と死の間―― 71
6 万葉集の覇旅歌における時間意識――「今」の発見―― 82
7 季節感における時間意識の発生と展開 94
記紀歌謡から万葉へ 万葉から古今へ
8 家持・業平・小町――春憂と鬱情の時間―― 119
9 生活空間と年中行事――『枕草子』の時間意識―― 138
10 女流日記文学に現われた時間意識――再び「世の中」について―― 146
11 宿世観にみられる時間意識――夢・卜占・あるいは怨霊たち―― 168
12 『源氏物語』に現われた極楽浄土と時間意識 188
13 『源氏物語』と『源氏物語絵巻』の時間意識 200
14 時間と時間を超えるもの――古代から中世へ―― 220
永遠性の発見 末法思想と時間意識
注 246
○状態
半世紀以上前の古本ですが書込みや折れなどなく良い状態です。天部に埃汚れ、底部に当たり、全体に焼けがあります。絶版状態にある希少な本書をお譲り致します。
中世日本文学と時間意識 永藤靖/著