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昭和天皇伝説たった一人のたたかい　松本健一

「神」から「ひと」へと変貌を遂げた昭和天皇とはいかなる存在だったのか。二・二六事件や秩父宮との不和、三島由紀夫や北一輝との関係、マッカーサーと並んだ歴史的写真の真相など、伝説と真実の狭間に浮かび上がる真の姿とは？従来の昭和天皇観を一変させる瞠目の書。

目次
第１章　記憶の王（王者の政；二人の「御用掛」　ほか）
第２章　カリスマたち（“魔王”北一輝；北一輝の敗北　ほか）
第３章　神輿の人（マッカーサーとの対決；敗戦国日本の象徴　ほか）
第４章　天皇の「政治」（すべてを知ろし召さん、と；「あっ、そう」の受け入れ文化と拒絶　ほか）


レビューより
戦前から戦後にかけての時代の変化を、昭和天皇の立場を通して考えた本。昭和天皇と１歳しか違わず、軍部に受けの良い弟、秩父宮との不仲が、昭和史の中で、たとえば開戦の決定などの際に微妙な影響を及ぼしていたこと、また、北一輝は「支那に生まれていたなら天子に成れると思った」と自負するような、まさに魔王のような人であったが、その北が日本的な革命原理で、天皇をかつぐ形（天皇機関説）での革命を構想し、結果としてはその昭和天皇が「機関」としての自覚を踏み越えて示した、断固たる反乱軍鎮圧の意志に敗れたこと、あるいは、マッカーサーと昭和天皇が並んだ写真について、マッカーサーがことさらにラフな格好をしたものではなくて、普段から服装などの見た目について我が道を行くタイプだったことなど、いろいろと教えられることが多かった。
第４章以降で、戦後の天皇に関して、それに対する三島由紀夫の批判などを扱った部分は、私にとっては難しく、十分に理解できなかった。


2.26事件、大本教事件、三島由紀夫の自決事件の背景を説きながら、昭和天皇とは、どういう人物だったのかが描かれています。昭和天皇といわれますが、千数百年にわたって京都で戦乱と身内の権力闘争を生き抜いてきた家系。昭和天皇にとって、事件があまりに概念すぎるゆえに大して関心がなかったのではないでしょうか？（三島由紀夫には残酷すぎ？）