
2007年に前立腺がんで56歳という若さで亡くなったダン・フォーゲルバーグへのトリビュート・アルバム。
未亡人となったジーンと、初ソロ作からプロデューサーやBとして付き合いがあったロバート・プットナムらが中心となり、2010年からCD製作を立ち上げ、7年を超える年月を経て完成しました。大半の楽曲はアーティスト本人が選曲したそうです。
ジーンが最初にあげた候補であるガース・ブルックスの1で幕開け。ダンからの音楽的影響を公言していただけあって、歌唱も音楽の空気感もそっくり、拍手喝采モノの素晴らしさ。ガースが参加してくれたおかげで、その後に続くアーティストの参加を促し、レコード会社の積極的応援も引き出したそうで、本作への彼の貢献は多大なものです。
2はなんとドナ・サマー。バック・トラックは製作コストの都合でオリジナルを使用しましたが、原曲を聴いて一緒に歌っていたというドナ、60歳を超えて軽々と歌い上げる。収録の2年後、肺がんで彼女も帰らぬ人に。合掌。
M.マクドナルドの3は、ダンが売れる前にたまたまデモ・テープで聴いた楽曲。
4は、エイミー・グラントとヴィンス・ギルの夫婦参加。学生時代に本曲を友人の結婚式で歌っていたというエイミーのほうが積極的だったそうです。C.ボッティのTpが美しい。
やはり影響を受けたというトレインの5、若い感覚により見事な仕上がり。歌い継がれる楽曲は世代を超えた作品であると、改めて感じます。
7はダンのオープニング・アクトを務めたバンドFools Goldのメンバーでありダンの幼馴染のデニー・ヘンソンと仲間のテリーによるもの。ダン、デニーと同郷のM.マクドナルドがPで参加、R&Bテイストを出しています。
70年代からダンのファンというニッティー・グリッティー・ダート・バンドの10、ふところの深さがしみじみと心に来る。
ボズ・スキャッグスはヘンソン、マクドナルドつながりで11に参加、シンプルなサウンド構成だが、その歌声とグルーヴはとても心地よい。
“プロデュ―ス:ジョー・ウォルシュ。録音場所:自宅。ダニー、君にあいたいよ。”とのクレジット付きでジーンにマスターが送られてきたのが12。本楽曲を収録したダン2枚目のソロをプロデュースしたジョ-の思いのたけがギッシリと詰まった快作です。Key以外はすべてジョー。ドン・ヘンリーとT.B.シュミットがコーラスで参加です。
Zac Brown Bandがずっとライヴで取り上げてきたのが14。G1本とコーラスのみ、コロラド州はレッド・ロックスでのライヴ。こなれた演奏、さすがです。
本CDの売上はPCF(前立腺癌基金)に寄付されるそうです。また、ダンのオフィシャル・サイトには、もっと本作の情報があります。シンガー・ソングライターとしてのダンの才能を再認識させてくれるこの素晴らしいアルバムは、オリジナルを知らない音楽ファンにもぜひ聴いて欲しいです。
収録曲 :
1 PHOENIX、
2 NETHER LANDS、
3 BETTER CHANCE、
4 LONGER、
5 SAME OLD LANG SYNE、
6 DON’T LOSE HEART、
7 OLD TENNESSEE、
8 AS THE RAVRN FLIES、
9 SUTTERS MILL、
10 RUN FOR THE ROSES、
11 HARD TO SAY、
12 PART OG THE PLAN、
13 THERE’S A PLACE IN THE WORLD FOR A GAMBLER、
14 LEADER OF THE BAND