ジャズらしくないジャズ。そんな言葉がよく似合う。ミクスチャーされたクールでまったく新しいジャズがここにある。デジタル感とアナログ感が絶妙に混じり合い,独自の世界が展開されている。ニコラス・ペイトンをはじめとする豪華ゲストも熱い演奏だ。前作はまさしく『モダン・デイ・ジャズ・ストーリーズ』というタイトルがふさわしい秀作だったが、これは約2年ぶりの新作。リズム・セクションは一新されたが、ジャズの偉人たちの流儀を継承しつつ、“現代を呼吸するジャズ”を創造するというコンセプトは引き継がれている。生演奏にループを織り込んだ(2)はエディ・ハリスに触発されて作った曲とのことだが、導入部には自分たちの演奏の断片やドラムンベースのビートなどがコラージュされており、途中では某有名曲のフレーズがちらっと顔を覗かせる。こういう茶目っ気は、いかにもコートニーらしい。また、前作にはカサンドラ・ウィルソンが起用されていたが、今回は彼女と相通ずる資質をもつジュリーサが(3)に参加。物憂げだが、気高いスピリットを宿したヴォーカルがじんわり心に染みる。コートニーのソプラノ・サックスもリリカルで雄弁だ。テナーが咆呼する曲は少ないが、おおらかで清々しい歌心にあふれたモダン・ジャズが堪能できる。ジャズのしっとりした感じよりはヒップホップに近いかんじで楽しく聞けます。我が家のヘビーローテーションです。ＤＪの音ネタも「ヨーガ，ファイアー！」なんて聞こえてこれってもしかして、ストリートファイターの効果音じゃないの！？なんて所もあります。サックスがヒップな感じで歌い、ジャズのようでそうではない。しかしコートニーのフレーズひとつひとつがキーに沿って音を織り成していてやっぱりジャズなんだなと感心してしまいます。楽しく聞けるので、ジャズに詳しくない人も詳しい人にも聞いてみて楽しめるでしょう！