宮永岳彦（みやなが たけひこ、1919年2月20日生～1987年4月19日没）は静岡県磐田郡出身の洋画家で、昭和11年に名古屋市立工芸学校を卒業後、松坂屋に勤務しながら制作を続け、正宗得三郎に師事。戦後は二紀会に参加し、理事長も務めた。豪華で華麗な西欧王朝風の美人画を得意とし、「鹿鳴館シリーズ」で知られる。主な受賞歴に、菊華賞（1974年）、東郷青児美術館大賞（1978年）、日本芸術院賞（1978年）がある。皇太子殿下ご夫妻の肖像画制作を通じてブラジルのサンフランシスコ最高勲章グラン・クルハース章も受章した。ポスターや雑誌挿絵でも活躍し、大衆的な人気を博した。

宮永岳彦「輝」油彩 6号 高級オリジナル額装 共シール
宮永岳彦（1919-1987）による本作「輝」は、柔らかな光と気品に包まれた女性像を描いた油彩画です。金色の背景に浮かび上がる横顔の女性は、静かな中にも生命の輝きを感じさせ、まさにタイトルの通り“輝き”そのものを象徴しています。繊細な筆致で描かれた髪は光を受けてふんわりと輝き、肌には温もりと透明感が宿ります。耳元の金の大ぶりなリングや、衣装の紫と黒のコントラストが上品な華やかさを添え、女性の存在をより際立たせています。右上を見つめる穏やかな眼差しには、希望や未来への憧れ、そして女性としての誇りがにじみ、見る者に静かな感動を呼び起こします。

宮永は、正宗得三郎に師事し、戦後は二紀会の理事長を務めるなど日本洋画界を代表する画家のひとりです。豪奢で華麗な美人画を得意とし、「鹿鳴館シリーズ」で知られましたが、その華やかさの奥には常に人間の精神性や気高さが描かれています。本作「輝」もその代表的な作風をよく示しており、外面的な美だけでなく、内から放たれる光のような精神的な美しさを見事に表現しています。金色の光と女性の穏やかな表情が溶け合うことで、永遠に消えない“心の輝き”を描き出した、宮永芸術の真髄を感じさせる一枚です。