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●加田伶太郎（福永武彦）署名入り、『完全犯罪』講談社刊、1957（昭32）年、装釘：高久廣、初版、仏装、跋文・江戸川乱歩。少スレアリ。約19×13cm、244ページ

●「完全犯罪」「幽霊事件」「温室事件」「失踪事件」「幽霊事件」所収。福永武彦名義の序文で、加田伶太郎へのオマージュを述べている。

●福永武彦が探偵小説を書くときのペンネームが加田伶太郎であり、それが「たれだろうか（誰だろうか）」のアナグラムであることは、よく知られているが、その作品内容は、きわめて凝ったものになっている。

●福永は、パズラー（「本格もの」といわれる謎解きミステリ）の骨格が、従来の3W（Who? When? Where?）から、Why？に論理の中心が移ってきたことを、いち早く実作で証明して見せたと言われている。もちろんWhy？は単に「動機」のことではなく、「なぜ犯人が、そのような行動を取らざるをえなかったか？」 ということである。