■ 基本情報|Release Information
レーベル:Official
品番:6029
フォーマット:LP, Compilation, Mono
国:Denmark
リリース年:1989年
タグ:Blues, Chicago Blues, 1940s, Mono, Early Electric
■ 作品の解読|Decoding the Work
肉体の重みを引きずるようなリズム、焦点を拒むヴォーカルの呪詛──John Lee Hookerの「Boogie Chillen」は、録音という制度に身体が初めて刻印された瞬間のひとつとして語られねばならない。1948年、初出のマスターに記録されたこのトラックは、すでに後のすべてのブルースを震わせていた。一本のギターが地を這い、ヒューマン・ビートの最も先鋭的な形態が、言葉以前の躯から漏れ出る。
この1989年デンマーク盤は、そうした原初の記憶に耳を澄ませる一つの手段である。モノラルでコンパイルされた本盤は、Hookerの戦後初期のエレクトリック・セッションを軸に編まれており、Eddie Kirklandのバッキング、Otis FinchやJohnny Hooksのサックスが、粗削りながらも濃密な音場を形成する。録音ごとにセッションメンバーや音質の差異はあるが、それこそがこの編纂の美学だ。つまり、音楽の「整合性」ではなく、「変異と断片」こそを生の証として刻印する方針が選ばれている。
また、単なる代表曲集とは一線を画し、「Tease Me Baby」「Playin’ The Races」といったややマイナーな楽曲も同列に収めることで、Hookerの語法=リズムの呪術的機能がより立体的に浮かび上がる。初期セッションにおける“Boogie”とは、もはやジャンルやスタイルではなく、生理の持続であり、居場所を持たない言語である。この盤の価値は、そのような「語られることのないもの」たちに、一次的な肉声としての空間を与えている点にある。
流通上の位置づけとしては、Official レーベルによる欧州圏向け再編集であり、音質はきわめて鮮明。にもかかわらず、このコンピは「記録の更新」ではなく「記録の再召喚」としての側面を強く保っている──それは、音がもはやアーカイブされるのではなく、ふたたび身体を生きる瞬間として現れるための技法である。
■ 状態詳細|Condition Overview
メディア:NM
ジャケット:VG+
■ 支払と配送|Payment & Shipping
発送:匿名配送(おてがる配送ゆうパック80サイズ)
支払:!かんたん決済(落札後5日以内)
注意事項:中古盤の特性上、微細なスレや経年変化にご理解ある方のみご入札ください。完璧な状態をお求めの方はご遠慮ください。重大な破損を除き、ノークレーム・ノーリターンにてお願いいたします。