トム・コールは1982年にプロ入りし、ニューヨークを拠点にフリーランスのラウンジ・ピアニストとして活動している中堅。1993年に初リーダー作(本盤)発表後、『スリー・ウインドウズ』(1998)、『トウェイン』(2002)の3枚のリーダー盤を
アーチ・シェップに即興演奏、ホレス・ボイヤーにアレンジを学び、1985年にマサチューセッツ大学
アマースト校を卒業。 その後はニューヨークで、クイン・シージョーンズ ヤリチャード・デイビスのサイドメンとしての仕事
シェップの弟子筋ということで警戒度MAX、おまけに定期・トリオの面々を誰一人知らない本盤を
購入したのは留意点違いにビッグ・ネームなマーク・ジョンソンの名前をベーシストの欄に見つけました。このパターンで
思い出深いのは、テキサスの叙情派、故ダグ・ホールちょっと傑作『スリー・ウィッシーズ』(Igmod)だ。果たせるかな、1993年
に発表された本盤の音は、シェップの弟子筋とは信じがたい、リリカルな知性派のピアノだった。 全9曲のうち、ビートルズと
ジョビン以外の7曲を自作。相当な自信があるようで、実際的な、このアルバムの大きな魅力になっているのは、思索彼の
オリジナルの作曲センスの良さであろう。
ダグ・ホール同様、エヴァンスを消化しているが、彼の場合はそこからキーの方向に向かうのではなく、チック・コリアや
マッコイの方角へ向かって進んでいると判断している独自性だ。後期エヴァンスにハル・ギャルパーのマッシブさをシブ追加
したような感じと言えばいいのか。運指が先めりで兼務。 キーボード業界のピアニストに多いタイプである、主役の一本調子
なピアニズムを上手に選び、自分の核を作る。 じっくり練った楽曲を、分別のある演奏で正確に描き上げ、器を超えた冒険は
しない。音の職人として、なすべき仕事のしっかりメカニカルで直線的なエヴァンス系モード・ピアノと聞いて触って動ける方なら
、買っても一番損はないと思う。 欲を言えば全曲、ジョンソン
弾く来てくれればよかったのですが・レギュラー・トリオのベーシストはお世辞にも上手いとはいえない。彼の欠けた次作以降
には多くを期待できそうになく、本盤がコールの入門盤であり代表作となろう。 Tom Kohl - Piano Marc Johnson - Bass Dick1. Dinosaurs For Mary
2. ザ・フール・オン・ザ・ヒル
3. マイ・リトル・カーボン・ユニット
4. 不安
5. ウェイティング・フォー・ザ・サン
6. 選ばれた声
7. 先祖サリー
8. ダブルレインボー
9. 木の言葉