その後のスタックス製ドライバーアンプは、必ず 真空管を採用した製品をラインナップしております。
何十年の昔から、ラインナップから絶やさずに継続して販売しておりますので
歴代~現行品まで、真空管を採用した機種はそれなりに多いわけですが
SRM-006t を分岐点とすると、より以前のモデル 或いはそれ以降のモデルとでは
音造りのポリシーが大きく代わったような印象で、新しいモデルになるほど
ハイレゾ等に代表されるデジタル音源の再生に注力したような、所謂Hi-Fi然とした
クールなエリート路線が進み、そのテイストはややもすれば淡白で冷たさを感じる傾向になってきているように感じます。
なので、濃密で暖かみがあり、人肌の温もりが感じられるほどの温度感が高めな管球アンプらしさを
お求めの方にとっては、お薦めできる内容を保持しております。
初段にデュアルFET、出力段には双三極管=6FQ7/6CG7を採用した半導体と真空管による
ハイブリッド構成のドライバーアンプで、その機種に 待望のバランス=XLR 端子を増設したモデルになります。
その内部はオーディオ全盛期に製造された製品らしく、当時の音響用パーツがふんだんに散りばめられております。
コンデンサーの王様である、銅箔のスチロールコンデンサー、音と精度は抜群だがたいへん高価なタンタル抵抗
当時は群を抜いて高評価であった 日立製 大型の電解ケミコンなど、枚挙にいとまがないほどでございます。
更には、信号経路の配線にはPC-OCC導体を用いるなど、現在では絶版となってしまった優れたパーツが随所に使われており
各社が切磋琢磨しあっていた、良き時代を彷彿させる充実した内容でございます。
現代の機種とは異なる音色に魅せられてしまうといったら、懐古趣味とお叱りを受けてしまうかもしれませんが
十分に高音質であることは、間違いないところではないかと感じる次第でございます。
この機種の音は、出力段に真空管を採用したこと、そして オーディオ業界が元気で健全だった頃の製品で
とても艷やかで瑞々しく、潤いに満ちた 実に美しい音色を奏でるとの印象でございます。
後継機種とは異なる、ポッと火を灯したような温度感の高い、人肌の温もりが感じられて
血の通った そして生気が迸ったリアリティある音のように感じております。
現在では、絶滅してしまった電子パーツや配線材が奢られているからでしょうか。
近年のモデルとはまた違った、個人的には とても好ましいテイストを感じました。
私的に、ドライバーアンプはデバイスに真空管を採用した製品が好みですので
かなり主観が入っていると思いますが。。。
キーパーツである真空管は、製造ロットによって採用された真空管のメーカーがバラバラでしたが
この頃のモデルは主に米国製=GE社(ゼネラル・エレクトリック)の球が多く採用されており
この後の SRM-006tあたりになると、旧ユーゴスラビア製=Ei社の真空管が目につくようになって参りました。
当出品物は、高名な 米国製 GE (General Electronics)社の リブ型/ロングプレート球 が刺さっております。
ヴィンテージ管といったら大袈裟かと思いますが、その後のスタックスが好んで採用する
真空管であるロシア製の現行球=Electro-Harmonix とは印象がかなり異なり
熱くて重厚、太めでふくよかな音を奏でて 力強さも感じる 旧き良き 米国球的な趣があると思います。
その後のモデルと異なる 特徴として もう一点、真空管のヒーターへの点火方式が 交流点火であることが
管球アンプ特有の奥行きのある 味わい深い音を奏でる、もう一つの重要な要因ではないかと感じる次第でございます。
電源部の平滑電解コンデンサーの頭部に銅箔が貼り付けてあるのは、この時代によく用いられた音質改善のための手法です。
当モデルも製造ロットによって、対策してある/ないがありましたが、出品物は対策済みのロットとなります。
当機種は真空管が採用され、尚且つA級動作させているため、上面の通風孔が大きめに造られています。
そのため、ホコリなどが内部に溜まりやすいのですし、酷いものになれば ホコリまみれで
電子パーツが見えなくなるほど こんもりと積もっている場合も多々ございますが
当出品物は比較的 蓄積量が少なめで、清掃も楽に行えました。
ついでに基盤部を撮影いたしましたので、参考になさってください。