チャールズ・シレム・リッダーデイル（Charles Sillem Lidderdale、1830年9月28日サンクトペテルブルク生まれ、1895年6月7日ロンドン没）は、若い女性を屋外で描いた肖像画を中心に制作したイギリスの画家で、1856年から1893年にかけてロイヤル・アカデミーに36点を出品しました。視力障害に悩まされながらも、眼科医ティルゴリン・トゥイーディの治療により油彩での制作を継続でき、水彩画は困難になったものの、少数ながら高く評価されました。彼の作品は特にイングランド中部で好まれ、多くが個人蔵とされています。作風としては、田舎の少女や野外での女性像を題材とした温かみのある写実的な描写が特徴です。

リッダーデイル Charles Sillem Lidderdale「Young Woman」油彩 10号大 証明シール
この作品「Young Woman」は、19世紀イギリスの画家チャールズ・シレム・リッダーデイルによって描かれた、静謐で気品に満ちた女性肖像画です。端正な横顔を見せる若い女性の姿は、画面全体に清らかな空気感をもたらしており、見る者の心にそっと寄り添うような穏やかさと存在感を湛えています。白い胸当てに淡いグリーンのドレス、そして黒いチョーカーと金のイヤリング。どの要素も控えめでありながら、繊細に調和し、彼女の洗練された佇まいを際立たせています。柔らかくまとめられた金髪には緑のリボンが結ばれ、彼女の優雅さに自然なアクセントを添えています。背景にはほんのりと葉が描かれ、人物と自然の穏やかな関係を暗示するようです。

画家リッダーデイルは、生涯を通じて田園風景の中での女性像や少女たちを温かみある写実表現で描き続けました。彼は視力障害という困難を抱えながらも、油彩による制作を精力的に行い、1856年から1893年の間にロイヤル・アカデミーへ36点もの作品を出品しています。本作もまた、彼の誠実なまなざしと卓越した筆致がよくあらわれた一枚であり、当時の観衆が憧れた「理想の女性像」を優しく、そして凛とした姿で提示しています。この「Young Woman」は、単なる美の表現を超え、19世紀英国社会の静かな叙情と、女性の内面性をも映し出す、詩情豊かな肖像画といえるでしょう。