【作品概要｜Overview】

中山ラビのセカンド・アルバム『ひらひら』（Polydor MR 5049, 1974）は、彼女の初期三部作（『女です』（1975）、『Good Bye』（1976））の中でも最も音響的実験と詩的統制が調和した瞬間を捉えた作品です。全曲の作詞・作曲を自身で手がけ、編曲は安田裕美が担当。帯・歌詞カード付き国内オリジナル盤。

タイトルの「ひらひら」は単なる視覚的軽やかさではなく、記憶の断面が風に触れるような不安定さ、抑制と解体のあわいに漂う言葉の感触を象徴しています。70年代日本フォークにおける女性表現の臨界点として、今なおアシッドな強度を保ち続ける一枚です。

初期三部作の中での位置づけ

• 『女です』（1975年）はより社会的文脈やジェンダーを強く帯びた“立つ”語りであり、
• 『Good Bye』（1976年）はポスト・アシッド的な断念と穏やかな諦念の中に美を宿しています。
  それに対して『ひらひら』は、詩と音がまだ「生理的に」接続されていた緊張状態を記録したものであり、言葉と沈黙の境界線を往還する最初のピークに位置づけられます。

1970年代女性SSWの中での比較軸

• 森田童子が社会的疎外を内省と幻視に変換したように、
• 佐井好子が幻想と神話へと潜行したように、
• 山崎ハコが痛覚と連動した詩的身体を提示したように、
  中山ラビは、現実と言語の摩擦熱の中から“詩の温度”を定着させた作家でした。

彼女の作品は、語りの主体が「自分語り」へと収斂してゆく80年代以降の女性SSWとは異なり、語りが他者への宛先を持たないまま、音の空間に放たれる“ひとつの存在論的試み”であったとすら言えるのです。

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【状態｜Material Condition】

• メディア：NM（盤面良好。再生確認済）
• スリーブ：NM（全体美品）
• 帯：付属
• インサート：付属

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【取引詳細｜Terms & Logistics】

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