「ワンダフル・ワールド」(Wonderful World)は、1960年のヒット曲です。アート・ガーファンクル、ジェームズ・テイラー、ブライアン・フェリーや日本のウルフルズなどもカバーしています。歌の内容は、学生の恋の歌ですが、けして劣等生の歌ではありません。「歴史のことなんかそんなに良く知っていない」(Don’t know much about history)のは、少し謙遜している言葉です。アメリカでは、公民権法制定前までは、優秀な有色人種は敬遠される風土がありました。白人にとっては、言葉どおりの恋の歌も、当時の有色人種の人たちの一歩遠慮した意識が感じられます。しかし「有色人種だって、歴史も、生物学も、科学も、フランス語も、地理も、三角法も、代数学も学ばなくちゃ素敵な世界にならないよ。」というメッセージも込められています。また、この歌詞の「You」が白人に向けた言葉だとすれば、人種間の理解を求めたメッセージが読み取れると思います。シンプルなようでいて、深い意味もある、サム・クックの才気がよく分る歌だと思います。12インチは珍しいですね。