栗本薫 大正浪漫伝説 全2巻 「狂桜記」「天の陽炎」(初版)です。
グラシン紙でカバーして保存しています。
「狂桜記」
中学生の柏木幹彦が暮らす家は近所から桜屋敷と呼ばれる古い屋敷だった。
ある日、幹彦は入ってはいけないと言われている西の土蔵にいとこの聡とともに近づき、得体の知れぬ声を聴いてしまう。
そしてその翌日、家にある「中将桜」で首を吊った聡が発見される。
さらにいとこのまさ枝も行方が分からなくなってしまい・・・
桜屋敷に秘められた謎が奇怪な殺人事件を引き起こす。
大正時代を舞台に描くゴシック・ミステリ。
「天の陽炎」
華族たちがゴシップで世間を賑わせている大正時代。
女学校を出たばかりの真珠子はその美貌を見初められ、綾瀬成祐子爵と結婚した。
だが、夫は彼女を着せ替え人形のようにしか扱わない。
そんな彼女の前に、大陸浪人の天童壮介が現れる。
天童は綾瀬から金を騙し取り、大陸での成功を企んでいた。
彼の思惑を知りつつも、真珠子は天童の語る大陸への思いに惹かれていく。
そして姑の死をきっかけに、彼女の運命が大きく動き出す。
角川文庫:定価1104円。
栗本薫:別名に中島梓。東京生まれ。早稲田大学文学部卒。1977年中島梓名義の「文学の輪郭」で群像新人賞評論部門を受賞。
1978年『ぼくらの時代』で江戸川乱歩賞受賞。以後、作家・栗本薫、評論家・中島梓を使い分けて多彩な文筆活動を展開する。
小説作品は、ミステリ、SF、時代小説、耽美小説と多岐にわたる。
ライフワークともいうべき一大長篇ロマン「グイン・サーガ」は、2005年に100巻を達成したが、2009年著者病没により130巻が最終巻となった。
著書は『弦の聖域』、『魔界水滸伝』、『真夜中の天使』など、400冊を超える。