
自然詩人・随筆家として知られる**田部重治(たなべ・しげはる)**による、
戦後最初期(昭和23年=1948年)の文芸随筆集。
戦中の沈黙を経て刊行された「自然への回帰」と「日本文人の復興精神」を象徴する書。
表紙・扉ともに水墨・淡彩による山水図装丁(自筆意匠)。
奥付には「東西出版社」印と昭和23年3月15日印刷/3月20日発行の記載。
定価95円。印刷者は小坂孟之助。発行者は築井健浩。
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◆ 書誌データ
・書名:青葉の旅・落葉の旅
・著者:田部重治
・発行所:東西出版社(東京都中央区新京橋2-20 生命ビル内)
・発行者:築井健人
・印刷者:小坂孟
・印刷所:東京市新宿区加賀町二ノ三
・発行日:昭和23年(1948)3月20日
・定価:九拾五円
・発行印:東西出版社マーク貼付(青緑印)
・販売:文雅堂書店
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◆ 内容概要
・「青葉の旅」「落葉の旅」2篇を中心とした自然随筆集
・四季の山水・旅情・詩的感懐を通じて戦後の精神再生を描く
・明治以来の自然派文学(志賀重昂~白樺派~田部重治系譜)の継承作品
・戦後の「文藝復興」運動期における清新な文語調散文
著者略歴より:
明治17年、富山県生まれ。東洋大・法大・東女大で教鞭を執る文学者。
代表作に『山と渓谷』『文藝復興』『中世駿河女文学史』など。
本作は晩年の抒情随筆として知られ、文学史的にも重要。
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◆ 状態
経年ヤケ・軽度シミあり(全体均一)。
奥付完存、検印紙残存。カバー・帯なし。
全体として中~良好。
ゆうパケットポストを想定しております
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◆ コメント
本書は戦後の**「文藝復興」思想を象徴する自然文学書**。
田部重治の「静謐な自然観」と「戦後倫理」が融合しており、
戦前の山岳・自然随筆の流れを終戦後に接続する貴重な一冊。
絵扉・装丁ともに詩情豊か