
ドイツ帝国・ヘッセン大公妃アリスの鶏卵古写真。
イギリスの有名スタジオによる撮影及び有名な発行者によるレア写真。
この発行元の刻印の入った王侯貴族の古写真は手元にもけっこうありますが、この写真裏のプリントを見ると、元売り業者で小売りはしていなかったようです。
ヘッセン大公国はドイツの小国であるが、各国の皇妃・王妃を輩出しており、アリス王女の娘もロシア皇妃、夫の叔母もロシア皇妃であり、歴代大公妃もアリス王女とその先代の大公妃もまた傍系王族ではなく国王の娘である。
アリス王女は英国女王ヴィクトリアの次女。
イギリスでの式典の際に撮影された写真で、夫君や兄のイギリス皇太子エドワードと共に撮影された一連の写真群のうちの一枚。
マントを羽織った宮中正装姿で、有名なヘッセンティアラを身に着けている。
夫婦仲は良く子供たちに対しても愛情深い人物で、母のヴィクトリア女王とも仲は良かったようであるが、先代のヘッセン大公妃マティルデ(バイエルン王女、大公ルートヴィヒ三世の妃、アリス王女の夫の父カール公子の兄の妃)には良くしなかったとされている。
義母はバイエルン王妃マリー(バイエルン国王ルートヴィヒ二世の母)の姉にあたるプロイセン王女(国王の孫娘)エリーザベトで、その息子がアリス王女の夫であり、実子のない大公の跡を継いだ。
アンティーク・ヴィンテージの紙物は傷や汚れ、微細な破れ、角折れ・折れも当たり前に存在します。
画像をよくご覧頂き、見えにくい箇所や気になる点があればご質問下さい。
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★カルト・ド・ヴィジットとは
フランス語由来でカルト・ド・ヴィジットと呼ばれる、1800年代当時の王侯貴族が訪問時等に名刺代わりに使用した古写真。
手札判写真(手札版)、鶏卵写真とも呼ばれる。
1860年頃から芸能関係の有名人などを写した写真も含めてスタジオから既製品として売り出され、英国女王ヴィクトリアも含めて王侯貴族にも熱心な蒐集者がおり、イギリスのナショナル・ポートレート・ギャラリーには多くの王侯貴族のCDVやキャビネットカードと呼ばれるキャビネ判写真が収蔵されている。
こういった古写真は、男女共にヘアスタイル、被服、ジュエリー等のアクセサリー類の服装史の上でも興味深い。
フランス皇后ウジェニーは、ただの美人として歴史の上では特筆すべきものはないとされていることが多くあるが、ファッション界ではカルティエやオートクチュールの父と呼ばれるフレデリック・ワースを王侯貴族に紹介した人物として名高い当時のトレンドセッターである(但し一人息子の死後は全身黒付くめの喪服しか着用しなかった)。
王侯貴族は自国や嫁ぎ先、統治者として迎えられた国の髪型や服装にアクセサリーを纏って写真に収まることも多く、風俗史の上でも意義深い。
当時物でもスタジオの台紙に貼り付けられた正規品からややピントのボケた複製品の海賊版まで存在し、今日でも、当時(欧米では明治期からスクラップブッキングが盛ん)正規品の台紙から写真を剥がして個人のアルバムに貼り付けてあったものを剥がしたもの等がある。
鶏卵写真とは現像のプロセスに使用する原料から付けられた名称で、独特の質感を持つ。
銀塩写真はその後の製造になり、こちらは金属的な光沢を持ち、ポストカードに仕立てられたものが多い。