栗本薫「好色屋西鶴」(ノベルス)です。
希代の女好き平山藤五(のちの井原西鶴)は、
家業の足袋屋もそっちのけで俳諧と女遊びにうつつを抜かしていた。
そんな彼に荒戸屋孫兵衛という男が、万句興行を開催するのでその束ねをしてもらいたい、
俳諧の世界でともに名を上げようと持ちかけてきた。
これで一躍人気俳諧師となった西鶴の女遊びはさらに激しくなる。
そんな廓通いのなかで、彼はひとりの遊女に出会った。その名は夕霧。
恋人の世之介と心中して生き残り、遊女になったのだという薄幸の美女に
西鶴はのめり込んでいくが、ある夜、交わりの最中に世之介の幽霊が現れて。
井原西鶴は世之介に導かれ、男と女の色の世界に踏み込んでいく。
濃密な官能描写で活写した官能絵巻。
色と欲にまみれた浮世をはなれ、快楽地獄の果てに西鶴が見たものは。
ジョイノベルス:定価1296円。
栗本薫:別名に中島梓。東京生まれ。早稲田大学文学部卒。1977年中島梓名義の「文学の輪郭」で群像新人賞評論部門を受賞。
1978年『ぼくらの時代』で江戸川乱歩賞受賞。以後、作家・栗本薫、評論家・中島梓を使い分けて多彩な文筆活動を展開する。
小説作品は、ミステリ、SF、時代小説、耽美小説と多岐にわたる。
ライフワークともいうべき一大長篇ロマン「グイン・サーガ」は、2005年に100巻を達成したが、2009年著者病没により130巻が最終巻となった。
著書は『弦の聖域』、『魔界水滸伝』、『真夜中の天使』など、400冊を超える。