はぎれでも貴重な布です。約465㎝と全体が残っており画面に納まらないので、1枚目画像は中央で畳んでいます。色褪せが見られず鮮明な文様で、糸の摩耗もほぼありません。一般的な円形文に比べると数が少ない文様でもあります。はぎれはありましたが、この文様の全体が残っている布は、今回初めて出てきました。コレクター向けの一枚です。
これは、インドの絹の経緯絣「パトラ」です。縦糸・横糸を調整しながら模様が崩れないように織られるパトラは、インドネシアのグリンシン同様に非常に高い技術を要し、インド更紗よりずっと現存数の少ない染織です。古くから茶の裂として珍重されてきました。
この布は昔、インドネシア スマトラ島 パレンバン で入手しました。大きさは、約465×102㎝、19世紀のオリジナルであることを保証します。パトラはその昔、インドのグジャラート州からインドネシアの王侯貴族階級向けに輸出されました。中でも、このように5m近くもの長さのあるパトラは、特別な注文によるものです。
この布は、補強のために裏側から全体を赤い色の生地に縫い付けられています。6枚目画像青い矢印のように傷み箇所を囲んだり周辺を縫っての補強です。この赤い裏地は、パトラ全体には接着されていませんので、外そうと思えば外せます。ただ、このような一枚布には、そうそう出会えるものではありませんので、すぐに鋏を入れる必要が無ければ、繊維への負荷の少ない補強布の付いたまま保管されることをお勧めします。
このパトラの素晴らしい点は、まず退色がほとんど見られず、パトラ特有の美しい色が残っている点です。次に、更に縦と横糸のたるみが無いため文様が浮き出るように鮮明な点です。撚りが甘く糸のすきまがあると文様がぼやけてしまったり、糸に力が無いパトラは、他の用途に使い難いものです。そのような状態のパトラは評価が低く、蒐集の対象外でした。しかし、この布の傷みの無い部分の繊維は、しっかりと力があり、古いパトラにありがちな繊維がこぼれ落ちたり、すぐに破れることがありません。2〜4枚目のアップ画像をご覧いただくと、裂地の弾力を始め、繊維の状態の良さがお分かりいただけるかと思います。5枚目画像のようにパトラ裂だけを摘み上げてみても弾力があり、しっかりとしています。 裂として取れば、他の用途に十分に活躍してくれるパトラです。特に、「益田間道」と呼ばれ、古くから珍重されてきた左右両端の縞部分は、所々に傷みが見られるものの比較的きれいな状態で残っています。
絹は傷みやすく200〜300年も経っている布ですので、所々に傷みが見られます。各部分の状態は、3分割した7〜9枚目の画像でご確認ください。下からそれぞれ、約145㎝(7枚目画像)、約157㎝(8枚目画像)、約163㎝(9枚目画像)に分けて撮影しています。裏地が見える赤色の濃くなっている箇所に傷みがあります。ただ、全体的にボロボロという感じではなく、裂として取れる部分も比較的広く残っていますので、包み等としてご活用いただけるかと思います。その他、10枚目画像にある右上端(黄色囲み)に判読できない書き込みがあります。傷みも時代を経た本物である証ととらえ、古布にご理解のある方のみ、ご入札をお願いいたします。
パトラは小さな断片でさえ貴重で、探してもなかなか出会えないものです。ましてやこの文様で、このサイズと状態で残っているパトラの一枚布は、もう出てくることはないでしょう。整理のための出品で、この布の希少さに比べて、大変リーズナブルかと思います。大切に引き継いでくださる方がいらっしゃいましたら、よろしくお願いいたします。
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