タンノイのブックシェルフ型スピーカー「Mercury F1」です。
以下の整備を施しています。
・ ネットワークの調整
・ 吸音材の追加&配置換え
ディバイディングネットワークを調整しています。(写真7枚目右下)
- HPF用フィルムコンデンサを、ニチコン製電解コンデンサ「MUSE」と東信工業製PETフィルムコンデンサを併用する形に変更。
- 静電容量を調整し、クロスオーバー周波数を400Hz程度降下。
- LPF用電解コンデンサをエルナー製に交換。容量はオリジナルと同等。
- アッテネータのセメント抵抗の一部を、酸化金属皮膜抵抗に変更。コンデンサ交換に伴う出力調整とインピーダンス調整のため、定数を変更。
- ツイーター用ケーブルの引き出し位置を変更。基板側に接続点を設けて手動で着脱可能に。
キャビネット内の底部にあるエステルウールの吸音材を撤去し、新たにPET製硬質フェルトを配置しています。
また、既存のウールがバスレフポートを塞がないように、配置を換えています。
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キャビネット外観は、擦り傷は底部以外にほぼ見あたりませんが、角部に打痕があります。(写真8枚目)
また、非常に見えづらいですが、片方の天面にテープのようなものを貼った跡があります。(写真9枚目)
前面ネットには、穴や剥がれが無く綺麗です。
ツイーターのドームのコーティングが少し劣化しています。(写真4枚目)
バインディングポストは、分解し薬剤で内部まで洗浄しています。
前面ネットを固定するダボ穴のゴムブッシングは、保護剤を含侵させて劣化による白化を軽減しています。
底面にフェルト製シートを貼っています。
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名門タンノイのカジュアルなパッシブスピーカーです。
アップルウッドの明るい木目調仕上げとフロントバスレフが特徴。
音は派手さを抑えたマイルドなもので、エネルギーを偏らせず分散させる鳴らし方です。
バスレフの調整用にスポンジが付いていますが、開放状態のほうが安定するようです。
整備では、引っ込み気味の中音を持ち上げるチューンを施しています。
フィルター回路は、コイル以外のほぼすべてのパーツを刷新。HPFにあえて電解コンデンサを使うことで、高めの中音を少しだけ主張させるなどしています。
ツイーターのウレタンコートは劣化していますが最小限のため、塗り替えずそのままとしています。
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主な定格
・ 2ウェイ2スピーカー/バスレフ型/防磁設計
・ 寸法:170W x 300H x 220D mm
・ 重量:4kg
・ インピーダンス:8Ω
・ 再生周波数帯域:55Hz~20kHz
・ 出力Lv:87dB(2.83V/m)