１９３６年生まれ、米国はニューヨークシティ出身のミニマルミュージック第一世代を代表する作曲家、スティーブライヒの２００３年リリース作。オリジナルリリースは米国ノンサッチと欧州ノンサッチからの同時リリースだったもので、こちらはその欧州版オリジナル。スリップカヴァー装丁にＣＤとＤＶＤの２枚組セットでリリースされていたもの。オリジナルタイトルは２人の連名となっていて、スティーブライヒともう一人の主役、１９４５年生まれの女流ヴィデオアアーティストで、スティーブライヒの伴侶としても知られるベリルコロトのコラボレーション作といった立ち位置。作品コンセプトは＜ヒンデンブルクの爆発事故＞、＜核実験のビキニ環礁＞、＜クローン羊のドリー＞という３曲の意味深なタイトルから構成されているトータルアルバムで、ことスティーブライヒ作品としては音楽に付随する映像作品付きというもの自体が非常に珍しく、全ディスコグラフィー中でも恐らくは本作が唯一。音楽と映像とはいえ、作品としての本編は音楽の方にあり、あくまで映像は後付けの付随するものなので、音楽作品としてのクオリティーはいつもながらに凄まじく、わりとスティーブライヒ作品としてはポストミニマル系に触発された近作といった印象。というのも本来から複雑な拍節フラグメントを難解なパズルのように組み上げ、さらにこれを重ねて複合化されるスティーブライヒの作風自体が汎プログレッシブロック作法とは親戚筋という以上にパラレルな関係にあって、特に本作ではそのプログレ作法感がより表出されている（ように聴こえる）という意味ではプログレ好きだったなら衝撃の一言。特にジェントルジャイアントとディシプリンクリムゾンの複合性とビートフラグメントの関係、マイクオールドフィールドの反復性からチェンバープログレ系を貫いて、さらに意外な事に本作ではマグマとの類似性さえ彷彿とさせる合唱パートの組み込み方とかってちょっとヤバすぎるほど。に加えて様々な言語を含めた音響フラグメントがコラージュされながら展開していくエレクトリックな新展開と合わせて映像もリンクし、立体構造としてのトータル作品というのが見えてもくる、スティーブライヒの新機軸にして重要作。STEVE REICH-three tales(nonesuch)

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