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あいさつ

日本経済新聞は今年、創刊120周年を迎えます。これを記念し、現代日本画を代表する、杉山 零画伯の展覧会を開催します。

杉山画伯は明治42年(1909)に東京・浅草に生まれました。東京美術学校(現・東京芸術大学)在 学中の22歳のときに帝展に初入選、翌年には(磯)が特選になるなど、早くからその才能を認めら れました。卒業後、在学中より教えを受けていた松岡映丘の画塾「木之華社」に参加、昭和9年 (1934)には浦田正夫、山本丘人らと「瑠爽画社」を結成するなど、新しい日本画の革新をめざして 活躍しました。戦後は、きわめて斬新で新鮮な感覚を示して大きな反響を呼んだ(エウロペ)をは じめとして、日本画に新しい局面を切り開く作品を日展を舞台に、次々に発表しました。

この展覧会は、平成5年(1993)に永眠された杉山画伯の画業を、初期の作品をまとめた「純粋絵 画」、抽象的作品を紹介する「心象の世界」、エジプトやギリシァに取材した「古代美への憧憬」、 裸婦を描いた「生命の賛歌」、花や鳥を追った「自然の神秘」、そしてカッパドキアの風景を中心に した「永遠の時間」の各章に分けてたどります。帝展で特選を受けた(磯)、美術学校の卒業制作で 首席の(野)などの初期の作品から、晩年の(洗)や(箱)まで、本画の代表作56点と素描33点で杉 山芸術の永遠の造形性とその本質に迫ろうとするものです。

なお、本展の開催にあたり、貴重な作品を出品いただいた各美術館、所蔵家をはじめとする関係 各位の絶大なご援助に、深甚の謝意を表します。また、開催直前に逝去されました杉山元子夫人の 全面的なご協力をいただきました。

1996年3月

主催者