北村小松による戦前の少年向け冒険小説の復刻本です。
前篇は完売のため在庫がありませんが、後篇だけ読んでも十分に面白い冒険アクション小説だと思います。
新書判(110mm×173mm)、総212ページ(厚さ12mm)、PPフルカラーカバー付。「コミックマーケット85」(平成25年12月30日)初売り
戦前戦後期に幻想・科学小説(SF)などの分野で活躍した作家・
北村小松氏が昭和16年に少国民新聞(現:毎日小学生新聞)紙上で323回にわたって連載した“スパイとの対決”がテーマの子供向け冒険小説を、正式に復刻許可をとって採録復刻した自費出版ノベルスです。
単行本は昭和17年に発売されましたが、今では国会図書館にも所蔵がなく、古書店に出れば数万円は下らないとまで言われている作品を、可能な限り廉価かつ平易に読めるよう編集しました。
後篇は新聞連載版の第182回から第323回までを採録したもので、単行本版からの復刻ではありません。ただし単行本版も参考に用い、後篇のカラー口絵では単行本・上下巻の表紙イラストを再録しています。
また、海洋画家・飯塚羚児氏による連載当時の挿絵も、正式に許可を取って多数掲載しています。
併せて、後篇には
北村小松氏が昭和17年に大阪で行った講演「戦争と世相 謀略完封の道は近きに在り」の講演録も採録してあります。
なお、この小説には「原子爆弾」なるものが登場しますが、これは登場人物の台詞の中に出てくるハッタリの一つで、文献によっては「ニセ原子爆弾」と呼ばれています。名称だけは語られていますが、ストーリーには全く絡んできません。小松左京氏が生前に「この小説で読んだ」と回想しているような“マッチ箱ひとつで都市が吹っ飛ぶ”という表現もこの小説には出てきません。
これは昭和19年頃に流行った当時の“都市伝説”を、小松左京氏が混同してしまったものと思われます。
小松左京氏がなぜこのような記憶違いをしたかについては、巻末の13ページにわたる解説文の中で触れていますので御一読いただければ幸いです。
このような小ネタも各所に散りばめられた、時代背景さえ正しく理解していれば今読んでも十分面白い少年小説だと思います。
本文に訂正が見つかったときは発行サークルの下記ウェブサイト「訂正情報」で随時更新・掲載しています。
http://jesftv.in.coocan.jp/91_doujinshi_teisei.html