前作は男の哀愁をたっぷりと感じさせる渋い1stソロアルバムだったが、この2nd(1997年作)では肩の力が抜けた感じに歌もサウンドもまろやかで暖かい感じに仕上がっている。歌い手としてスペシャルズ時代から常にイビツさが漂っていたが、ここにきて本当に成熟した余裕を感じるボーカルとなっている。また今作でも交友関係の広さを示していて、ほとんどが誰かとの共作で、スティーブン・ダフィやクレイグ・ギャノンなど常連組に加えて、ハイラマズのショーン・オヘイガンやブラーのデーモン・アルバラーンの名前もクレジットされている。このメンバーでやって悪くなるはずもなく、とても完成度の高い普遍性のあるポップス作品となった。ただラストのトッド・ラングレンのカバー"I saw the light"に顕著に現れているが、あまりにも真っ当なアレンジでやってしまっているので、フックとかインパクトとしては、多少弱くなってしまっている。とはいえ、キャリアの中でも最も完成度が高いアルバムだと思う。