ペンシルベニア出身のレイチェル・フェレルによるファーストアルバムは、日本限定でリリースされたジャズプロジェクトだった。ポップソウルに続くこのアルバムでは、彼女のジャズ要素はほぼ抑えられているものの、優雅に流れるようなハーモニーや、ラブソングに込められた力強い大人の感性に、フェレルのバックグラウンドが感じられる。ジャズとR&Bのクロスオーバーアーティスト、アニタ・ベイカーやオレタ・アダムスと同様に、フェレルは燃え上がるようなバラードで真価を発揮し、スモーキーな歌声が官能性を象徴している。それでもなお、アップテンポな「It Only Took a Minute」におけるミニー・リパートンを彷彿とさせる彼女の叫び声は、聴く者の背筋を凍らせるほどだ。