織田廣喜（1914年4月19日～2012年5月30日）は福岡県生まれの洋画家。日本美術学校卒業後、1940年に二科展初入選し、戦後の1946年「黒装」で二科賞受賞。1950年に二科会会員となり、以後、国際展や国内外の個展で活躍。1960年に初渡仏し、サロンドートンヌに出品。1968年に内閣総理大臣賞、1971年に青児賞を受賞し、1995年には日本芸術院賞・恩賜賞を受賞。1996年には碓井町立織田廣喜美術館が開館。2003年にはフランス政府より芸術文化勲章（シュヴァリエ章）を受章。2006年に二科会理事長、2012年に名誉理事長に就任。幻想的な女性像を特徴とし、現実を超えた「想像し嘘をつく」ことを制作の本質とし、デフォルメされ浮遊するような表現が高く評価された。

織田廣喜「シャンゼリゼー風景」油彩 20号 大作
織田廣喜「シャンゼリゼー風景」20号（60.6 × 72.8 cm）は、フランス・パリを象徴するシャンゼリゼ大通りを舞台に、祝祭の華やぎと幻想性を織り交ぜて描いた大作です。画面中央には凱旋門が配され、はためく旗や広場に集う人々が祝祭的な高揚感を漂わせています。手前には織田廣喜の真骨頂ともいえる女性像が描かれ、現実感を超えてデフォルメされ、浮遊するように配置されています。その軽やかな存在は、現実の都市風景を幻想へと昇華させ、観る者を夢幻的な世界へ誘います。厚塗りによる重厚なマチエールと自由奔放な筆致、そして黄・緑・橙を基調とする明快な色彩が響き合い、作品全体に生命感と祝祭感を満たしています。

織田廣喜（1914-2012）は戦後日本洋画壇を代表する作家であり、「想像し、嘘をつく」ことを制作の本質とし、幻想的な女性像や夢のような都市風景で高い評価を受けました。内閣総理大臣賞、日本芸術院賞・恩賜賞をはじめ数々の栄誉に輝き、フランスでも芸術文化勲章を授与されるなど、国際的にその名を知られています。本作は、織田芸術の魅力が凝縮された一枚であり、都市の賑わいと夢幻的な詩情が響き合う、大作にふさわしい格調を備えています。