
バーデン大公国ヴィルヘルム公子妃、ロイヒテンベルク公女マリーの鶏卵古写真。
宮廷御用達スタジオによる発行で、細部に至るまで鮮明。
着帽時の写真は出回っているが、脱帽時はレア。
マリー公女の母親はロシア皇帝ニコライ一世の皇女マリヤで、二人は非常に似ている。
マリー公女の父母の結婚により、ロイヒテンベルク家の成員は傍系のロシア皇族より高いランクの皇族の殿下の称号と、主にロシア皇族と貴賤結婚をした者に与えられるロマノフスキー公子・公女の身分を得た。
ロイヒテンベルク公家の元々の出自はフランスのボーアルネー子爵家で、フランス皇帝ナポレオン一世の最初の皇后ジョゼフィーヌと前夫との間の長男が、バイエルン王女との結婚に際してバイエルン(ナポレオンにより王国に昇格した)国王の義父より王族の殿下の称号とロイヒテンベルク公の身分を与えられたもので、それ以前に皇帝ナポレオンの養子として皇族の殿下の称号及びフランス皇子の身位も持っていた。
さらに後の当主とロシア皇族との結婚(マリー公女の両親)により、ロシアでもロイヒテンベルク公その他の身分を得たものである。
初代ロイヒテンベルク公の娘にはスウェーデン王妃となった成員もいるが、スウェーデンはベルナドット家の初代国王がナポレオンの部下でその妻の初代王妃デジレはナポレオンの初恋の女性であったり、他の現王家にもボーアルネー家の子孫がいる等、失脚はしたがナポレオンの影響はヨーロッパに今も残っている。
バーデン大公国は、直系の男系が絶えた時に大公と平民の女優との貴賤結婚により生まれた系統の家系にバーデン公子・公女の身位と継承権を与えて継承しており、マリー公女の夫ヴィルヘルム公子もその系統の成員である。
ヴィルヘルム公子はその系統の傍系であるが、直系に子孫がなく、二人の子孫が当家の当主である。
アンティーク・ヴィンテージの紙物は傷や汚れ、微細な破れ、角折れ・折れも当たり前に存在します。
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★カルト・ド・ヴィジットとは
フランス語由来でカルト・ド・ヴィジットと呼ばれる、1800年代当時の王侯貴族が訪問時等に名刺代わりに使用した古写真。
手札判写真(手札版)、鶏卵写真とも呼ばれる。
1860年頃から芸能関係の有名人などを写した写真も含めてスタジオから既製品として売り出され、英国女王ヴィクトリアも含めて王侯貴族にも熱心な蒐集者がおり、イギリスのナショナル・ポートレート・ギャラリーには多くの王侯貴族のCDVやキャビネットカードと呼ばれるキャビネ判写真が収蔵されている。
こういった古写真は、男女共にヘアスタイル、被服、ジュエリー等のアクセサリー類の服装史の上でも興味深い。
フランス皇后ウジェニーは、ただの美人として歴史の上では特筆すべきものはないとされていることが多くあるが、ファッション界ではカルティエやオートクチュールの父と呼ばれるフレデリック・ワースを王侯貴族に紹介した人物として名高い当時のトレンドセッターである(但し一人息子の死後は全身黒付くめの喪服しか着用しなかった)。
王侯貴族は自国や嫁ぎ先、統治者として迎えられた国の髪型や服装にアクセサリーを纏って写真に収まることも多く、風俗史の上でも意義深い。
当時物でもスタジオの台紙に貼り付けられた正規品からややピントのボケた複製品の海賊版まで存在し、今日でも、当時(欧米では明治期からスクラップブッキングが盛ん)正規品の台紙から写真を剥がして個人のアルバムに貼り付けてあったものを剥がしたものが個別に販売されることがある。
鶏卵写真とは現像のプロセスに使用する原料から付けられた名称で、独特の質感を持つ。
銀塩写真はその後の製造になり、こちらは金属的な光沢を持ち、ポストカードに仕立てられたものが多い。