1968年 大分県に生まれる、東京藝術大学大学院修了、2003年 再興第88回院展奨励賞受賞（第92回・第93回も）、2004年 第59回春の院展外務大臣賞、2007年 天心記念茨城賞受賞、2009年 第64回春の院展奨励賞受賞（第65回・第72回・第76回も）、2011年 個展－ヨーロッパの風－（日本橋三越本店ほか）、2014年 個展STORY‐街の物語－（日本橋三越本店）、2018年 個展－station－（日本橋三越本店）、現在：日本美術院特待・愛知県立芸術大学准教授　駅舎や鉄道風景をモチーフに情緒あふれる世界観を描き出す日本画家

岩永てるみ「Budapest Keleti pu」日本画 8号 共シール
本作品は、ブダペスト東駅の壮大な内部を精緻に描写しています。この駅は、特徴的なアーチ型のガラス窓と壮麗な建築様式で知られており、絵の中でもその特徴が美しく表現されています。中央には大きな時計があり、その周囲に張り巡らされた電線や装飾が、駅の歴史と現代性を同時に感じさせます。

絵の右側には青と黄色の列車が停車しており、その鮮やかな色使いが背景の落ち着いた色調との対比で際立っています。列車の形や窓、前面のライトなど細部まで精緻に描かれており、まるで実物を目の前にしているかのようなリアリティがあります。駅舎の大きなアーチと電車の直線的なデザインが美しいコントラストを成し、構図全体に動きと静寂が絶妙に融合しています。

また、光と影の使い方が見事で、駅内部に差し込む光が電車を照らし、その影が床に落ちる様子が描かれています。この光と影のコントラストが絵全体に立体感と深みを与え、観る者に強い印象を与えます。岩永てるみは、駅舎や鉄道風景をモチーフにした作品で知られており、この絵もその一環として都会の喧騒と静寂を兼ね備えた一瞬を切り取っています。彼女の観察力と技術力が光るこの作品は、現代の都市風景を象徴する傑作と言えるでしょう。