
文庫です。 きれいなほうです。
東日本に大津波が押し寄せたあの日、濁流は福島第1原子力発電所をも飲み込んだ。全電源を喪失し制御不能となった原発。万策尽きた吉田昌郎所長は、一人一人の顔を眺めながら共に死ぬ人間を選んだ――。
遺書を書き、家族に電話をかけ、嗚咽する人。現場に背を向けた人……。極限で彼らは何を思い、どう行動したか。絶望と死地を前にして揺れ動く人間を詳細に描いた、迫真のドキュメント。
【目次】
はじめに
福島第1原発構内図と1号機原子炉構造
プロローグ
第一章 3・11
史上最大の震災/無事でいてくれ/駆け上がる濁流/沖合9キロ/タービン建屋地下の悲劇/DGトリップ!/免震重要棟/全交流電源、喪失す/トップの不在/原発に向かう者たち
第二章 爪痕
電源設備、調査せよ/口を開けるマンホール/注水ラインを構築せよ/頼みは協力企業/車のバッテリー/振り下ろしたハンマー「/もう全滅だ」/情報なき首相官邸/正門の明かりは消えていた/格納容器ベント準備せよ/挙げられなかった右手
第三章 1号機爆発
首相、原発へ「/爆発はしません」/響き渡った怒声/黄色い死に神「/万が一」は今/ついに針は振り切れた/出動命令/トリプルX/白い煙/原発安全神話/この世の終わり/飛んできた鉄骨/野戦病院/最後の写真
第四章 制御不能
福島第2原発の苦闘/桜のトンネル/タイムリミット「/ふざけんじゃねえ」/「カン首相」の電話/カメラは見ていた/テレビで知った官邸/命の保証/吉田の機転/ごめんね/駐屯地への帰還/暗闇に飛ぶ火花/遺書
第五章 東電の敗北
真水か海水か/逆洗弁ピット/危険な食事/3号機、爆発/怖い、怖い、怖い/やるしかねえべ/病院を目指して/神が与えた試練/バスを用意せよ/邪魔をするな/限界突破/お母さん、逃げて/必ず生きて帰る/全面撤退/ただ祈るだけ
第六章 選択
撤退はあり得ない/サプチャン圧力ゼロ/2Fに向かえ/目撃者/そして退避が始まった/君は出なさい/墓標/衝撃音の正体/5台の避難バス/運転員の意地「/フクシマ50」/退避は完了した/絶対に引かない/まだ戦える
第七章 反転攻勢
米国の懸念「/日本は隠している」/この国の存在感/北へ向かえ/モニタリングヘリ離陸/ハーモニックT/迫る日没/落胆する官邸/目標は3号機/決行せよ/事に臨んでは/歓声/日米首脳会談/任務は成功
第八章 1F汚染
コンクリートポンプ車/日本のために/愛称はキリン/死ぬのか、死なんのか/福島に希望はあるか/汚された山村/駅前に人影なく/代わりはいない/地下の汚染水/被ばく事故/所長、東京へ
最終章 命
海王丸/当直長の帰還/うそつき/家族との再会/母になった運転員/最悪のシナリオ/2人を捜しに/広大な建屋地下で/黙祷/首にかかったIDカード/泣いてはいけない/吉田昌郎という男/じゃあね/最後の言葉/俺と死ぬのは誰だ
あのとき何があったのか――解説に代えて 池上彰