
戦前からのトップブランド「テレビアン」
1929年設立の山中無線電機株式会社による、日本ラジオ史を飾るブランドです。
線材、絶縁材以外の殆んどの部材を自社生産していたと言われ、その独自性は凄まじいばかりです。
ラジオ愛好家の方なら、「テレビアンブルー」に塗られたシャシーを、コンデンサや抵抗器の一つ一つにまで入った
テレビアンロゴをご存じの事と思います。
この名門メーカーは、最終的には1957年に東芝傘下に入り、その輝かしい歴史を終えます。
本機はその直前、ブランド最末期のモデルと思われます。
東芝マツダ7RA-32をそのままスケールダウンして、ベークライトキャビネットにしたかの様な瓜二つぶりは、
どちらが先で、どちらが後かなど逸話が語られてもよさそうなものですが、不思議と伝えられる話はなく、
このモデルの資料はほぼありません。
松下、早川、七欧らと肩を並べた4大ラジオメーカーであった山中テレビアンの最期の姿、
このラジオがあまりに美しく、出来栄えが秀逸なだけに寂しさもひとしおです。
本機の概要は以下の通りです。
・トランス式mT管5球スーパーヘテロダイン
6BE6, 6BA6, 6AV6, 6AR5, 5MK9, 6E5
・ハイインピーダンスコイル仕様
・トラッキングレス親子バリコン
・受信周波数 中波帯
・ベークライトキャビネット
・6.5インチパーマネントダイナミックスピーカー
・外部入力 RCA端子(モノラル)
整備内容は以下の通りです。
・電源フィルターコンデンサ(ケミコン) エルナー純正品交換
・コンデンサ類交換
・マジックアイ交換
・外部入力ケーブル製作
受信性能はDXが効いて非常に優秀です。ハイインピーダンスのアンテナコイルと
親子バリコンの良さが発揮されていると感じます。付属のアンテナ線にリード線を追加すれば尚良いです。
外部入力は特に切り替えスイッチがある訳ではありません。チューニングポジションを放送の無い所にして、
RCAケーブルから音源を入れてやるだけです。
ヘタに音質調節なんか要らないくらい、実に聴きやすい、品位の高い音だと思います。
当方での受信確認を経てはいますが、受信はご住居の地域、環境、構造に大きく左右される部分です。
最低数メートルのリード線をアンテナ端子に接続することは必須です。
また整備品とは言え本機の構成部品は70年の経年につき、コンディションの変化もあり得ます。
ご理解の上の入札をお願い申し上げます。