大城真人（おおしろまさと）は1958年富山県生まれの洋画家で、現在フランス・ナント在住。1981年東京学芸大学美術科卒業、1983年フランス・ナント美術学校卒業、1989年ビィポー美術学校講師就任。1995年サロン・デ・ソニエールでピュブリック賞（審査員賞）、同年フランス国内具象・抽象アートフェスティバルで最高賞受賞、1997年サロン・デ・サンテニャン・ド・グランリューで絵画部第一賞を受賞。代表作に「ヴェニスの朝」「セーブル」がある。作風は、ヨーロッパの水辺の風景をテーマに、運河沿いの古い街並みや湖畔の静謐な風景を細密な油彩で描き、光や風、空気感までも繊細に表現することが特長である。

大城真人「ゲントの夕暮れ」油彩 6号
本作は洋画家・大城真人（1958年富山県生まれ、フランス・ナント在住）による油彩画で、ベルギーの古都ゲントの街並みを描いた作品です。ゲントは中世以来の豊かな歴史と文化を誇り、運河沿いに立ち並ぶゴシック様式の建築や石造りの橋、遠景にそびえる教会の尖塔や城塞は、この街を象徴する風景として知られています。画面には、ゆるやかに流れる運河と橋を行き交う人々や舟の姿が配され、柔らかな光に包まれた夕暮れのひとときが克明に描写されています。水面に映る建物や空の色合いは、日没に向かう静かな空気を映し出し、見る者に現地に佇むかのような臨場感を与えます。

大城の特徴である緻密な筆致と繊細な光の表現は、本作でも存分に発揮されています。都市景観の荘厳さと水辺の静謐さを同時に描き出し、ヨーロッパの街並みが持つ歴史の重みと詩情を、豊かな感性で映し取った秀作です。