登場はまさに衝撃でした。しかし特に初期のライヴハウスや小会場におけるライヴでの熱狂を体験した人とそうでない人では全く評価がわかれてしまうのではないでしょうか。この人の放出するエネルギーや声の圧倒的なパワーは曲やアレンジとはまったく別の次元で最強のロックです。生きながらにして、すでにその存在は伝説でしたが、不慮の死がその伝説に拍車を掛けてしまった感は否めません。ファーストとセカンドに人気曲や代表曲が集中していることもあり、高い評価も得ていますが、その本当の凄みが表出されるのはその前2作で国内アーティストとしては、過去はおろか今現在においても、だれも経験したことがないような巨大に膨れ上がったパブリックイメージをすべて背負い、過度のプレッシャーで酒やドラッグに溺れながら、のた打ち回るように疾走し始めた12inch「DRIVING ALL NIGHT」以降の作品です。特に10分近くの大作をあえて12inchシングルとして切った「核 CORE」での叫びは壮絶なものを感じさせます。同曲が収録されているアルバム「街路樹」も傑作です。あの天才宇多田ヒカルは尾崎のファンであることを公言しています。好きとか嫌いとか云う以前の音、特にロックにこだわりを持っている人で尾崎というだけでスルーしたような人にあえて今聴いてほしい最強のセットです。