SACD ハイブリッド盤
+CD
ブルックナー:
交響曲第9番
(第4楽章フラグメント付き)
アーノンクール指揮
ウィーン・フィル VPO
ブルックナー第9 初演100周年記念!
アーノンクール&ウィーン・フィルによる刺激的名演!
アーノンクールのテルデックからの移籍第1弾は、新全集版スコアを用いたウィーン・フィルとのブルックナー「第9」で、同ヴァージョンによる録音はこれが世界初。しかも未完の第4楽章フラグメント演奏と、アーノンクール自身による解説トークまで収録。オーケストラの楽器配置は第2ヴァイオリン右側の両翼型で、コントラバスは後列左側、チェロは中央左寄り、ヴィオラが中央右寄りに置かれています。
演奏は細部まで徹底して解釈された見事なもので、複数の動機が集まって巨大な姿となる第1楽章第1主題部からその切り立った厳しいサウンドに驚かされますが、続く経過部分(ピツィカート)での思い切った強調表現も刺激十分。第2主題部では、立体感豊かによくうたう内声が音楽に微妙な陰影を与えて美しい抒情に結実しています。第3主題もメリハリに富むアーティキュレーションが、この部分本来の律動的な性格を意識させてかえって新鮮。
第2楽章はきわめて立体的なピツィカートと大迫力のトゥッティが織り成すコントラストが強烈。微細なアゴーギクも効果的です。
第3楽章は第1主題部の雄大なスケール感と、続く経過部分での遅いテンポによるコラール「生からの告別」が印象的ですが、驚くのは第2主題部で、ピツィカートを伴うエピソード・ブロックでの急激なテンポ・アップは、それまでの遅いテンポとは別世界の風景を見せてくれるかのようです。しかしなんといっても凄いのはやはり再現部後半のクライマックスでしょう。ただでさえ濃密な音のするウィーン・フィルのトゥッティですが、ここでは容赦のないティンパニ連打と過激なトランペット吹奏がその緊迫した響きをさらに迫力あるものにしているのです。
【第4楽章フラグメント、世界初録音】
ブルックナーの交響曲第9番は、1887年から1894年にかけて第1楽章から第3楽章まで完成されながら、1896年の作曲者の死によって、未完の交響曲として残されています。
未完の第4楽章には、さまざまな段階のスケッチが残されていますが、1983年に始まる「完成」の試みと並行して、オリジナルなスケッチの形としても校訂作業がおこなわれ、まずヨアフ・タルミ指揮オスロ・フィルによって1985年にレコーディングされます。
その後、第4楽章復元版にも名を連ねるジョン・A・フィリップスが残存するあらゆる資料を精査・整理して校訂を終えた結果、第4楽章のうち約4分の1はオーケストレーションが施されており、それ以外の断片についても、再現部のほぼ終わりまでカバーしたものとなっています。
同ヴァージョンは、1999年12月にアーノンクール指揮ウィーン交響楽団によって初演され、日本でも、2001年9月、フランダース・フィル来日公演の一環として、ベンヤミン=グンナー・コールスの指揮と解説によって披露されています。
アーノンクールは、第4楽章のフラグメントを演奏するだけでなく、自らの言葉で解説を加えています。このスタイルは、近年ベルリン・フィルとの演奏会などでも実践され話題を呼んでいるGesprochskonzetそのものであり、演奏に際して必ず原典(作曲者の草稿、初版譜など)に立ち帰るというアーノンクールの音楽への取り組みの根本的姿勢を示しています。
【第1~3楽章までは、新クリティカル・エディションによる世界初録音】
第1楽章から第3楽章までは、第4楽章の補筆完成版の制作に携わった音楽学者の一人、ベンヤミン=グンナー・コールス(Benjamin-Gunnar Cohrs 1965- )校訂による「ブルックナー協会版全集」の一環として2001年に出版された新クリティカル・エディションを使用した世界で初めての録音となっています。
従来のオーレル版、ノーヴァク版に代わるものとして、誤植の修正作業のほか、自筆譜以外の資料にもあたって綿密な校訂が施されており、ブルックナーの意図をより細かい点で実現したものといえます。原典にこだわる、いかにもアーノンクールらしい選択です。(HMV)
Disc-1(71分24秒)
・ブルックナー:交響曲第9番 ニ短調 WAB 109~第4楽章(フラグメント、ジョン・A・フィリップス編)
~アーノンクールによる語りとともに
・ドイツ語版(演奏18分00秒+語り18分07秒)
・英語版(演奏17分58秒+語り17分25秒)
Disc-2(58分50秒)
・ブルックナー:交響曲第9番 ニ短調 WAB 109(ベンヤミン=グンナー・コールス校訂)
第1楽章 荘重に、神秘的に(24分02秒)
第2楽章 スケルツォ(10分29秒)
第3楽章 アダージョ。ゆっくりと、荘重に(23分53秒)
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
ニコラウス・アーノンクール(指揮)
録音時期:2002年8月14,15,17日
録音場所:ザルツブルク、祝祭大劇場
録音方式:ライヴ・レコーディング(2002年ザルツブルク音楽祭より)
仕様
Disc1=通常CD
Disc2=SACD 5.0ch(ハイブリッド仕様)
コンディション良好。
発送はクリックポスト(追跡有)を予定しています。
土曜、日曜日は発送作業ができませんこと、ご了承ください。