E8001【Penguin】美しいアメジスト11.63ct 天然絶品D0.06ct R0.02ct 最高級18金WG無垢トップ 総重量10.17g 幅25.1×17.3mm

E8001【Penguin】美しいアメジスト11.63ct 天然絶品D0.06ct R0.02ct 最高級18金WG無垢トップ 総重量10.17g 幅25.1×17.3mm 收藏

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以下、所謂ブラクラ妄想ショートショートです〜〜

### E8001【Penguin】 #### 序章:令和の片隅で 空は、洗い立てのシーツのように真っ白だった。梅雨の晴れ間、湿ったアスファルトから立ち上る陽炎が、都会の輪郭をぼんやりと滲ませている。神保町の古書店街を抜け、一本裏路地に入った場所にある小さなアンティークジュエリーショップ「時のかけら」。それが、私、長谷川美月(はせがわみつき)の唯一の聖域だった。 三十二歳、独身。区立の郷土資料館で学芸員として働き、日々、埃をかぶった過去と向き合っている。恋愛は、というと、三年前に大失恋をして以来、すっかり臆病になっていた。まるで硬い殻に閉じこもってしまったヤドカリのように、私は誰かが私の世界に踏み込んでくることを極端に恐れていた。だから、言葉を交わさずとも雄弁に物語を語ってくれる古い品々に心を寄せるようになったのだ。 その日も、私は吸い寄せられるように店のドアを開けた。カラン、と澄んだベルの音が、静寂に満ちた空間に響く。店主の老婆、お静さんは、カウンターの奥で静かに微笑んだだけだった。彼女は決して客に話しかけてこない。品々が自ら語りかけるのを、ただ待っているかのように。 ガラスケースの中に並べられた、過ぎ去りし時代の囁き。アール・デコの幾何学的なブローチ、ヴィクトリア朝の繊細なシードパールの指輪。その中で、私の目は一つのペンダントトップに釘付けになった。 それは、ペンギンだった。 高さ三センチにも満たない小さな生き物。胴体は、息を呑むほどに深い紫色のアメジストでできていた。オーバルカボションカットの滑らかな表面は、まるで濡れた夜の闇をそのまま閉じ込めたかのよう。光の角度によって、その奥底から妖艶な赤い光が揺らめいて見える。その体を優しく包むのは、18金ホワイトゴールドの冷たい輝き。翼には鳥の羽を模した細かなテクスチャが施され、短い足は健気に体を支えている。そして、何よりも心を奪われたのは、その顔だった。つるりとしたホワイトゴールドの頭に、小さなダイヤモンドが一粒、きらりと埋め込まれている。そして、その両目には、情熱的な赤色を宿した小さなルビーが嵌め込まれていた。 まるで生きているかのようだ。ただの装飾品ではない。このペンギンには、魂が宿っている。そんな非科学的な確信が、私の胸を強く打った。 「これ…見せていただけますか?」 自分でも驚くほど声が上ずっていた。お静さんはゆっくりと頷き、鍵を取り出すと、震える手でケースを開けた。ベルベットの布の上に置かれたペンギンは、ずしりとした重みを感じさせた。裏返すと、小さな文字が刻印されている。『K18WG A11.63 D0.06 R0.02』。そして、その横に、筆記体で『Pour Chiyo, de Sakuya』と。 千代へ、朔也より。 誰なのだろう。どんな物語が、この小さなペンギンには秘められているのだろう。気づけば私は、ほとんど無意識に財布を取り出していた。決して安い買い物ではなかったが、迷いはなかった。このペンギンを、私が引き受けなければならない。そんな使命感にも似た感情に突き動かされていた。 家に帰り、丁寧にペンギンを磨いた。チェーンに通し、首にかけると、ひんやりとした金属とアメジストの重みが、私の心臓の鼓動に重なるように感じられた。その夜、私はペンギンを胸に抱いたまま、深い眠りに落ちていった。 #### 第一章:紫色の夢 夢を見ていた。 いや、それは夢というにはあまりにも鮮明で、生々しかった。 私は、見たこともない日本家屋の、鏡台の前に座っている。結い上げた黒髪、白粉をはたいた肌、紅を引いた唇。鏡に映るのは、紛れもなく私の顔のはずなのに、どこか違う。もっと凛としていて、憂いを帯びた、知らない女の顔だった。着ているのは、藤の花が描かれた縮緬の振袖。時代は、おそらく昭和の初め頃だろうか。 障子の向こうから、厳格な父親らしき男の声がする。 「千代。支度はできたか。隆一郎様がお見えになるのだぞ。失礼のないようにな」 千代。ペンダントの裏に刻まれていた名前。鏡の中の女が、私に重なる。いや、私が彼女の中に入り込んでしまったかのようだ。心臓が早鐘を打つ。隆一郎という名前に、胸の奥が冷たくなるのを感じる。会いたくない。その男には、絶対に。 私の意志とは関係なく、体はすっと立ち上がり、襖を開けて廊下に出た。檜の床の冷たさが、足袋を通して伝わってくる。広い座敷には、羽織袴姿の父と、洋装の若い男が座っていた。あれが、隆一郎。貿易商を営む名家の跡取りで、私の許嫁。整った顔立ちをしているが、その目は蛇のように冷たく、値踏みするように私を頭のてっぺんから爪先まで眺めている。 「おお、千代。美しいぞ。隆一郎様も、さぞお喜びになるだろう」 父が上機嫌で言う。私は、唇を噛みしめ、深々と頭を下げることしかできない。言葉を発しようとしても、喉が締め付けられて声が出ない。これは千代の感情なのだ。抵抗できない、巨大な力に押しつぶされそうな絶望。 会話は、私を置き去りにして進んでいく。結納の日取り、式の場所、新居について。隆一郎は時折、私に同意を求めるような視線を送るが、その目には優しさのかけらもない。まるで美しい調度品でも手に入れたかのような、満足げな光だけが宿っている。 耐えられない。ここから逃げ出したい。 そう強く願った瞬間、視界がぐにゃりと歪んだ。 気づくと、私は小さな時計工房の中にいた。先ほどの息詰まるような屋敷とは違う、油と金属と木の匂いが混じり合った、温かい空間。壁には様々な形の振り子時計が掛けられ、チクタク、チクタクと、それぞれが違うリズムで時を刻んでいる。 作業台に向かう、一人の青年。白いシャツの袖をまくり上げ、ピンセットを片手に、小さな歯車を組み立てている。その真剣な横顔。細く、けれど強い意志を感じさせる眉。優しげな目元。 「朔也さん…」 私の口から、愛おしさに満ちた声が漏れた。彼が、朔也。時計職人であり、私の、千代の、たった一人の想い人。 朔也が顔を上げる。その目が私を捉えると、ふわりと表情が和らいだ。 「千代さん。来てくれたんですね」 「…うん。少し、息が詰まってしまって」 彼は何も言わず、私の隣に椅子を引いてくれた。彼のそばにいるだけで、凍てついていた心がゆっくりと溶けていくのがわかる。 「見てください。もう少しで完成なんです」 朔也が作業台の上にあった、ベルベットの小箱を開けた。その中に鎮座していたのは、あのペンギンだった。まだ目は入っておらず、ダイヤモンドも留められていない、未完成の姿。 「ペンギン…?」 「はい。ペンギンは、生涯、たった一人の相手と添い遂げるそうです。千代さんへの、僕の気持ちです」 彼の指が、そっとアメジストの胴体に触れる。 「この石はアメジスト。『真実の愛』を守り抜く石と言われています。どんな困難があっても、僕たちの愛は変わらない。そう信じています」 彼の言葉が、温かい雫のように心に染み渡る。しかし、その温かさとは裏腹に、千代の心は罪悪感と悲しみで引き裂かれそうになっていた。隆一郎との婚約。家のための、抗えない決定。朔也の純粋な想いを受け止める資格など、自分にはない。 「…きれい」 涙声でそれだけ言うのが、精一杯だった。朔也は私の心の揺れに気づいたのか、心配そうに顔を覗き込む。 「千代さん?どうかなさいましたか?」 その優しい声に、堰を切ったように涙が溢れ出した。私は彼の胸に顔を埋め、声を殺して泣いた。朔也は驚きながらも、私の背中を優しく、何度も撫でてくれた。時計たちの刻む音が、まるで私たちの心臓の音のように響いていた。 そこで、私は目を覚ました。 頬に、生々しい涙の跡が残っていた。窓の外は、すでに白み始めている。胸には、あのペンギンが静かに横たわっていた。それはただの夢ではなかった。私は、千代という女性の記憶と感情を、追体験したのだ。ペンダントトップが、その鍵となって。 #### 第二章:残された想いの欠片 その日から、私の日常は一変した。夜、ペンギンを身につけて眠るたびに、私は千代になった。昭和初期の東京を歩き、朔也との密やかな逢瀬を重ね、隆一郎との結婚が迫ってくる恐怖に苛まれた。 千代の人生は、美しくも息苦しい鳥かごの中のようだった。裕福な商家の一人娘として、何不自由なく育てられたが、そこに彼女自身の意志が介在する余地はなかった。読む本、着る着物、習い事、そして結婚相手。すべてが父親によって決められていた。そんな彼女にとって、身分は低くとも、自らの腕一本で生きる朔也の存在は、唯一の光だった。 朔也は、千代の家の庭師の息子だった。幼い頃、二人は身分の差を忘れてよく一緒に遊んだ。彼は手先が器用で、木切れで動物を彫ったり、壊れたおもちゃを直してくれたりした。千代が成長し、家の外に出ることが制限されるようになっても、二人の絆は途切れなかった。朔也は時計職人として独立し、街角に小さな店を構えた。千代は、お付きの者を撒いては、こっそりと彼の店を訪れるのが、何よりの楽しみだった。 ペンギンのペンダントは、朔也が千代の二十歳の誕生日のために、何か月もかけて作っていたものだった。彼は最高の素材を求めて奔走した。深く、それでいて透明感のある紫のアメジストは、山梨の古い宝石商から。目のためのルビーと、頭頂部を飾るダイヤモンドは、横浜の港に出入りする異国の商人から手に入れたという。11.63カラットという大粒のアメジストは、彼の乏しい財産をほとんど注ぎ込んでも、まだ足りないほどの価値があった。彼は昼夜を問わず働き、足りない分を工面した。 「このペンギンが、千代さんのお守りになるように。僕がそばにいられない時も、これがあれば、僕の想いが千代さんを守ってくれる」 そう言って微笑む朔也の顔を、私は何度も夢の中で見た。それは、千代にとって、世界で最も大切な宝物だった。 しかし、幸せな時間は長くは続かない。二人の密会は、やがて隆一郎の知るところとなった。彼のプライドはひどく傷つけられた。自分のものになるはずの女が、卑しい職人に心を寄せている。その事実が、彼の歪んだ独占欲に火をつけた。 ある雨の降る日だった。千代が朔也の店を訪れると、そこには見知らぬ男たちが押し入り、店の中をめちゃくちゃに荒らしていた。隆一郎が、腕を組んで冷ややかにその様子を眺めている。 「これは、どういうことですの!?」 千代が叫ぶと、隆一郎はゆっくりと彼女に顔を向けた。 「どうしたもこうしたもない。この男が、私の顧客から預かった高価な懐中時計を盗んだのだ。その証拠を探している」 「嘘です!朔也さんがそんなことをするはずがありません!」 「ほう。ずいぶんとご執心だな。だが、残念ながら、盗まれた時計の部品が、この男の作業台から出てきた。言い逃れはできん」 それは、隆一郎が仕組んだ卑劣な罠だった。彼は朔也を社会的に抹殺し、千代の前から永遠に消し去ろうとしていたのだ。朔也は、青白い顔で唇を噛みしめ、ただ一点を睨みつけていた。彼は無実を訴えることすらしなかった。千代に累が及ぶことを恐れたのだ。この場で騒ぎ立てれば、自分と千代の関係が公になり、長谷川家の名に泥を塗ることになる。そうなれば、千代はもっと不幸になる。 「さあ、警察に突き出してやれ」 隆一郎が吐き捨てるように言った。男たちが朔也に掴みかかろうとした、その時。 「お待ちください!」 千代は、自分の懐から小さな布の包みを取り出した。中には、母親から譲り受けた翡翠の帯留めが入っていた。 「これで、弁償いたします。どうか、このことは内密に…」 隆一郎の目が、侮蔑の色を浮かべて細められた。 「…なるほど。そこまでして、この男を庇うか。いいだろう。その帯留めは受け取っておく。だが、この男には、二度と君の前に現れないと誓わせる。東京からも出て行ってもらう。それが条件だ」 朔也は、千代の顔を一度だけ、目に焼き付けるように見つめた。その瞳には、絶望と、痛みと、そして変わらない深い愛情が宿っていた。彼は、隆一郎に向かって、はっきりと頷いた。 それが、千代が朔也に会った、最後だった。 数日後、千代のもとに、小さな包みが届けられた。中には、完成したペンギンのペンダントと、短い手紙が入っていた。 『千代様。あなたの幸せを、遠い場所からずっと祈っています。このペンギンが、あなたの人生を照らす光となりますように。さようなら。朔也』 涙が、便箋の文字を滲ませた。千代は、声を上げて泣くこともできず、ただペンギンを強く、強く握りしめた。アメジストの冷たさが、彼女の燃えるような心の痛みを、少しだけ和らげてくれるようだった。 そして、千代は隆一郎と結婚した。 夢から覚めた私の枕は、いつも涙でぐっしょりと濡れていた。千代の悲しみが、絶望が、まるで自分のことのように胸に突き刺さる。資料館の仕事中も、ふとした瞬間に千代の記憶が蘇り、胸が苦しくなった。三年前に私を捨てた恋人のことなど、もうどうでもよくなっていた。私の心は、完全に昭和の悲恋に囚われてしまっていた。 私は、学芸員としての知識と技術を総動員して、千代と朔也の痕跡を探し始めた。古い戸籍や登記簿、当時の新聞記事、業界の資料。気の遠くなるような作業だった。しかし、何かに導かれるように、少しずつ、だが確実に、パズルのピースは埋まっていった。 長谷川千代。昭和五年、貿易商・岩崎隆一郎と結婚。子供には恵まれず、昭和三十年に病死。享年四十五歳。短い生涯だった。彼女の人生に、幸福はあったのだろうか。 そして、時計職人・宮田朔也。彼の名前は、意外なところで見つかった。戦後、スイスで開かれた時計の見本市で、独創的な機構を持つ懐中時計を発表し、ヨーロッパの時計業界に衝撃を与えた日本人職人として、専門誌に小さくその名が記されていたのだ。彼は東京を追われた後、神戸に移り、そこで腕を磨き、やがて世界へ羽ばたいたらしい。しかし、彼の私生活に関する記録は、ほとんど見つけることができなかった。 二人は、二度と会うことはなかったのだろうか。千代は、死ぬまで朔也を想い続けていたのだろうか。ペンギンは、何を語りたがっているのだろうか。 知りたい。二人の物語の、本当の結末を。そして、もしできることなら、千代の無念を晴らしてあげたい。朔也の想いを、成就させてあげたい。そんな、おこがましい願いが、日に日に私の心の中で大きくなっていった。 #### 第三章:時を超える願い 満月の夜だった。 窓から差し込む青白い光が、部屋の中を幻想的に照らし出している。私は、ベッドの上で膝を抱え、胸にかけたペンギンを握りしめていた。今夜もまた、私は千代になるのだろう。彼女の悲しみを、ただ追体験するだけの夜が来る。 もう、うんざりだった。傍観者でいるのは。ただ過去を覗き見るだけでは、何も変わらない。千代も、朔也も、そしておそらくは、このままでは私も、救われない。 「お願い…」 私は、ほとんど祈るように呟いた。 「もし、このペンギンに本当に力があるのなら…私を、過去に連れて行って。朔也が、街を去るあの日に。一度だけでいい。真実を、伝えさせて」 歴史を変えることの恐ろしさは、分かっていた。バタフライエフェクト。一つの小さな変化が、未来に予測不可能な大きな影響を及ぼすかもしれない。私の行動が、かえって二人を不幸にしてしまう可能性だってある。 でも、それでも。このまま、彼らの悲劇を知らんぷりすることはできなかった。千代の痛みは、私の痛みだった。朔也の純粋な想いは、私が失ってしまった、信じる心そのものだった。 ペンギンを握る手に、力を込める。アメジストが、心臓の鼓動と共鳴するように、かすかに脈打つのを感じた。熱い。石が、まるで生き物のように熱を帯びていく。 「お願い!」 強く念じた瞬間、部屋の空気がぐにゃりと歪んだ。視界が急速に白んでいき、耳の奥で、キーンという甲高い音が鳴り響く。体が、まるで綿のように軽くなる感覚。そして、次の瞬間、私は硬い地面の上に立っていた。 目の前に広がるのは、令和の東京ではない。ガス灯がオレンジ色の光を投げかける、石畳の道。人力車が行き交い、人々の着物と下駄の音が心地よく響く。空気は少し埃っぽく、醤油と出汁の混じったような、懐かしい匂いがした。 昭和五年、東京。朔也が、隆一郎に街を追われた、あの日の夜。 私は、自分の姿を見下ろした。ジーンズにTシャツという、この時代にはあまりにも場違いな格好。まずい。これでは不審者だ。しかし、今はそんなことを気にしている場合ではなかった。朔也を見つけなければ。 幸い、何度も夢で見た場所だった。彼の店への道は、体が覚えていた。小走りで角を曲がり、目的の店の前にたどり着く。店の明かりは消え、雨戸が固く閉ざされている。もう、荷物をまとめて出て行った後なのだろうか。 諦めかけた、その時。店の裏手から、小さな物音が聞こえた。そっと回り込むと、裏口の戸が少しだけ開いていて、中から一条の光が漏れていた。朔也だ。まだ、ここにいる。 私は、意を決して戸を叩いた。 「…どなたですか?」 中から、警戒するような、くぐもった声がした。 「…宮田朔也さんにお話があります。未来から、来ました」 自分でも、馬鹿げたことを言っていると思った。信じてもらえるはずがない。追い返されて当然だ。 しばらくの沈黙の後、ぎぃ、と音を立てて戸が開いた。そこには、憔悴しきった顔の朔也が立っていた。彼の目は、驚きと疑念に満ちていた。 「未来…?何を言っているんですか、あなたは」 「信じられないのは分かります。でも、証拠があります」 私は、首にかけていたペンギンのペンダントを外し、彼に差し出した。朔也は、それを見た瞬間、息を呑んだ。彼の目が、大きく見開かれる。 「それは…どうして君がそれを…。いや、まだ目は入れていないはずだ。ダイヤモンドも…」 「あなたが、これから完成させて、千代さんに贈るものです。私は、ずっと未来の時代で、これを見つけました。このペンギンが、私をここに連れてきてくれたんです」 朔也は、震える指でペンギンを受け取った。彼はそれを食い入るように見つめ、そして、私の顔を改めて見た。彼の瞳から、疑いの色が少しずつ消えていく。 「…信じられない。だが、君が嘘を言っているようにも思えない。一体、何のために?」 「あなたと、千代さんのために。私は、二人の未来を知っています。このままでは、あなたたちは二度と会うことはない。千代さんは、愛のない結婚生活の中で心を病み、若くして亡くなる。あなたは…あなたは、遠い国で成功するけれど、生涯、孤独に生きることになる」 私の言葉に、朔EAの顔が苦痛に歪んだ。彼は、すでに覚悟していた未来を、改めて突きつけられたのだ。 「それが、彼女のためなんだ。俺がここにいては、彼女を不幸にするだけだ。長谷川家を、醜聞に巻き込むわけにはいかない」 「本当にそうでしょうか?千代さんの本当の幸せは、あなたといることじゃないんですか?彼女は、あなたがいなくなった後、一度も心から笑うことはなかった。ずっと、あなたのことを想い続けていた。私が、彼女の心になって、見てきたから分かります」 私の必死の訴えに、朔也の心が揺れていた。しかし、彼の心には、身分違いという、この時代ならではの巨大な壁が、重くのしかかっている。 「だが、俺に何ができる?岩崎様は、権力も財産もある。俺のようなしがない職人が、どうやって千代さんを…」 「戦ってください!」 私は、思わず叫んでいた。 「逃げないで。千代さんのために、あなた自身の人生のために、戦ってください。あなたの作る時計や宝飾品は、未来で、世界中の人々から称賛されるんです。あなたは、しがない職人なんかじゃない。類い稀な才能を持った、素晴らしい芸術家なんです。だから、自信を持って。彼女の手を取って、一緒に逃げて!」 その時だった。 「そこで何をしている!」 背後から、冷たく鋭い声が響いた。振り返ると、そこに立っていたのは、岩崎隆一郎だった。彼の目は、私という奇妙な服装の女と、朔也とを交互に見て、激しい怒りと嫉妬に燃えていた。 「貴様、まだこの街にいたのか!それに、その女は誰だ。また新しい女でも囲ったか、見下げ果てた奴め」 「違います!この方は…」 朔也が私を庇おうとするのを、私は手で制した。これは、私が起こした波乱だ。私が、対峙しなければならない。 「岩崎隆一郎さん。あなたは、大きな間違いを犯しています。力や財産で、人の心を縛ることはできません。あなたがやっていることは、千代さんを不幸にするだけです」 「黙れ、小娘が!千代は私の妻になる女だ。私がどうしようと、私の勝手だ」 隆一郎が、私に掴みかかろうと一歩踏み出した。朔也が、私の前に立ちはだかる。三者が睨み合う、息の詰まるような緊張感。 その時、もう一つ、声が響いた。 「…やめてください」 か細く、しかし、凛とした声。声のした方を見ると、そこに、千代が立っていた。お付きの者を撒いて、朔也の身を案じて、駆けつけてきたのだろう。彼女は、目の前の光景に呆然としながらも、その瞳には、今まで見たことのない、強い光が宿っていた。 彼女は、ゆっくりと、隆一郎の前に進み出た。 「隆一郎様。この度の縁談、まことに申し訳ございませんが、お断りさせていただきます」 「…何だと?」 隆一郎の顔が、驚愕に歪む。父親の決定に、一度も逆らったことのなかった千代が、公衆の面前で、彼に反旗を翻したのだ。 「私は、私の心に嘘をついて生きることはできません。私は…私は、朔也さんと共に生きていきたいのです」 千代の告白に、朔也が息を呑む。彼女の瞳は、まっすぐに朔也を見つめていた。その視線を受け止め、朔也の心の中で、最後の躊躇いが消え去ったのが分かった。彼は、千代の隣に立つと、その手を固く握りしめた。 「聞こえましたか、岩崎様。これが、俺たちの答えです」 隆一郎は、わなわなと唇を震わせ、二人を交互に睨みつけた。彼のプライドは、ズタズタに引き裂かれた。しかし、彼は、これ以上騒ぎを大きくして、岩崎家の名誉に傷がつくことを恐れた。彼は、憎悪に満ちた目で私を一瞥すると、吐き捨てるように言った。 「…覚えていろ。必ず後悔させてやる」 そう言い残し、彼は闇の中へと姿を消した。 残されたのは、千代と、朔也と、そして私。三人の間を、気まずいような、それでいて温かいような、不思議な沈黙が流れた。 先に口を開いたのは、千代だった。 「あの…あなたは、一体…?」 私は、微笑んで首を振った。 「通りすがりの、お節介焼きです。あなたたちの未来が、幸せに満ちたものであるように、心から祈っています」 私は、朔也の手にペンギンを返した。 「これを、完成させて、彼女に渡してあげてください。あなたたちの、愛の証です」 朔也は、深く頷いた。彼の目には、感謝と決意の色が浮かんでいた。 千代が、深々と私に頭を下げた。 「ありがとうございました。あなたのおかげで、私は、自分の人生を歩き出す勇気をもらいました。このご恩は、一生忘れません」 二人が、固く手を繋ぎ合って、見つめ合う。その姿は、どんな宝石よりも美しく輝いて見えた。 私の役目は、終わった。 そう思った瞬間、再び視界が白んでいく。遠ざかる意識の中で、私は二人の幸せそうな笑顔を、確かに見ていた。 #### 第四章:令和のハッピーエンド 気がつくと、私は自分の部屋のベッドの上にいた。窓の外からは、小鳥のさえずりと、新聞配達のバイクの音が聞こえる。令和の、いつもの朝だ。 手の中には、あのペンギンが握られていた。しかし、何かが違っていた。以前よりも、アメジストの紫は深く、温かく輝いているように見える。まるで、幸せな記憶を吸い込んで、その輝きを増したかのようだ。 私は、本当に過去へ行ったのだろうか。それとも、すべては、あまりにもリアルな夢だったのだろうか。 答えは、すぐに見つかった。 数週間後、私が勤める郷土資料館で、「昭和の宝飾職人たち」という企画展が開催されることになった。私はその担当者として、資料の収集に奔走していた。その日、ある個人の収集家から、貴重な資料を提供したいとの連絡が入った。 応接室で待っていると、初老の紳士が、大きな革のトランクを抱えて入ってきた。 「長谷川美月さんですね。初めまして、宮田と申します」 宮田。その姓に、私の心臓が大きく跳ねた。 「このトランクは、私の曾祖父の遺品でして。彼が、名の知れた宝飾職人だったものですから、何かお役に立てればと」 彼はそう言うと、トランクを開けた。中には、使い込まれた工具や、デザイン画、そして古いアルバムがぎっしりと詰まっていた。私は、震える手でアルバムを手に取った。 ページをめくる。そこには、私が夢で見た、あの時計工房の写真があった。若き日の朔也が、はにかむように笑っている。そして、次のページ。 息が、止まった。 それは、一枚の結婚写真だった。紋付袴の朔也と、白無垢姿の千代。二人とも、本当に幸せそうに微笑んでいる。そして、その次のページには、歳を重ねた二人の写真が、何枚も、何枚も貼られていた。小さな工房の前で、生まれたばかりの子供を抱いて、孫たちに囲まれて…。どの写真の千代の胸にも、あのペンギンのペンダントが、誇らしげに輝いていた。 歴史は、変わったのだ。 私の介入は、彼らを幸福な未来へと導いた。安堵と、感動とで、涙が止めどなく溢れ出した。 「あの…どうかされましたか?」 宮田さんが、心配そうに私の顔を覗き込む。 「いえ…あまりに、素晴らしいお写真なので…。このお二人は、とても幸せだったんですね」 彼は、目を細めて優しく微笑んだ。 「ええ。曾祖母は、亡くなる直前まで、曾祖父の手を握って『あなたと一緒になれて、私の人生は世界一幸せだった』と言っていたそうです。曾祖父も、曾祖母が亡くなった半年後、後を追うように安らかに息を引き取りました。まさに、ペンギンのように、生涯を添い遂げた二人でした」 彼は、一枚のデザイン画を取り出した。そこには、緻密な線で、あのペンギンのペンダントが描かれていた。 「これは、二人の愛の証だったと聞いています。曾祖母が、不思議な女性に助けられた夜に、二人は結ばれたのだとか。まるで、時を超えて現れた天使のようだった、といつも語っていましたよ」 私は、ただ、泣きながら頷くことしかできなかった。 企画展は、大成功を収めた。特に、宮田朔也のコーナーは大きな話題を呼んだ。彼の作品の素晴らしさもさることながら、妻・千代への愛を込めて作られたペンギンの物語が、多くの人々の心を打ったのだ。 展示の最終日。片付けをしている私の元に、一人の青年が訪ねてきた。 「長谷川さん、ですよね。企画展、素晴らしかったです」 それは、宮田さんの孫にあたる人物で、名を拓也(たくや)さんと言った。彼もまた、曾祖父の跡を継ぎ、ジュエリーデザイナーとして活躍しているという。どこか朔也の面影を残す、誠実そうな青年だった。 「祖父から、あなたが曾祖父母の写真を見て、泣いてくださったと聞きました。まるで、自分のことのように。どうしてか、僕もあなたに会ってお礼が言いたくて」 私たちは、閉館後の静かな展示室で、長い時間語り合った。ペンギンの物語、朔也と千代の愛、そして、アンティークジュエリーに込められた人々の想いについて。彼と話していると、不思議と心が安らいだ。まるで、ずっと昔から知っている人のように。 「もし、よかったら…」 帰り際、拓也さんが少し照れたように言った。 「今度、僕の工房に来ませんか?あなたに、見てもらいたいデザインがあるんです」 私は、微笑んで頷いた。 「はい、喜んで」 私の胸で、ペンギンが温かい光を放っている。 それは、過去の愛の物語の終わりであると同時に、新しい愛の物語の始まりを告げる、優しい輝きだった。三年前に閉ざしてしまった私の心の扉が、ゆっくりと、しかし確実に、開かれていくのを感じていた。 時代を超え、数奇な運命を辿った小さなペンギン。それは、真実の愛は、どんな困難も、そして時さえも超える力があるのだと、私に教えてくれた。硬い殻に閉じこもっていたヤドカリは、もういない。私は、このペンギンが繋いでくれた奇跡を胸に、未来へと、一歩踏み出す。きっと、その先には、千代と朔也が手に入れたような、温かく、輝かしい未来が待っているに違いない。
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