
新書です。 きれいなほうです。
日清・日露戦争で日本の負け。太平洋戦争では勝った!
常識や定説をひっくり返し、山縣有朋からプーチンまでの近現代史の本質に重層的に迫る。
著者はこう記す。
「歴史とは『現在の影絵』である」。――現在の私たちにも反映している史実に対して、 誠実に向きあわなければならない。
しかし、「史実に貼られているレッテルを容易に信じてはいけない」。レッテル、つまりは常識や定説の裏側を見きわめることが重要だと述べる。そのための「発想の転換」が必要だという。
発想を転換すれば、戦争の「勝ち負け」も全く異なる様相となる。
「戦争は国家が目的を掲げて行うものだ。その目的を達成していない戦争は、戦闘には勝ったが戦争には負けたとなる。また、たとえ目的を達成したとしても、半永久的に恨みが残ったり、復讐されたりする。それも勝ったとは言えない」
結局、「戦争は敗者の選択」だという。
近現代史研究の第一人者からの真摯なる問題提起。
「核戦争の時代」のなかで最も求められる、待望の一冊!
〈目次から〉
【第1章】 戦争の勝利・敗北とは、何なのか
(Ⅰ)ロシア・ウクライナがたどり着く終戦(Ⅱ)戦争の本質を世界史に探る(Ⅲ)日本独自の「原価計算」がもたらした悲劇(Ⅳ)戦争で失ったものを戦争で取り返すという思想
【第2章】 日清戦争は日本の負け――眠れる獅子から得た賠償金の罠
(Ⅰ)小さな国の大いなる船出(Ⅱ)日本が体験した「第1の戦間期」
【第3章】 日露戦争は敗北――ロシアから強いられた臥薪嘗胆
(Ⅰ)静止画像に写っている戦闘(Ⅱ)第2の戦間期
【第4章】 第一次世界大戦の危険な果実
(Ⅰ)国家総力戦への大転換(Ⅱ)第3の戦間期
【第5章】 アジア・太平洋戦争は「勝ち」――真の利害得失
(Ⅰ)誰のための戦争か(Ⅱ)戦間期の思想と日本
【終章】 核の時代の勝利と敗北
(Ⅰ)世界は今、再び戦間期なのか?(Ⅱ)破壊と建設、加害と被害