ベンチャーズの記念すべきファーストシングル!
1st pressと思われるmatrix number #32240 / #32241を持つ盤です
「レコード会社が相手にしてくれないなら自分たちでレコードをつくっちゃえ」という発想は素晴らしい
でも、まあ、売れないでしょこれは。。。
A面の「The Real McCoy」は単純なブルース進行をコードでかき鳴らしブレイクの度にDonの喋りが入るという
ノベルティソングのような展開
B面の「Cookies and Coke」はカントリーの匂いのする50年代ぽいDonのヴォーカルもの
レコーディングは「Joe and Virginia Boles」スタジオで1959年9月20日に行われた
機材は当時この地区ではこのスタジオだけが所有する「Ampes 351-2 : 2トラック・テープレコーダー」
演奏者はDonとBobに加えてGeorge Babbittの3人
なかなかやり手のDonの母親Josieは、このレコーディングの前にBlue Horizonのレーベルと
Electron Music(オリジナル曲のロイヤリティを得るため)を登記している
録音されたテープはハリウッドのUnited Recording Studioへ送られモノラルにミックスダウン
レーベルデザインはJosieによるもので、以後Blue Horizonはレーベルデザインを2回変更して徐々に洗練されていく
ミックスダウンされたマスターはロスの工場に送られ500枚がプレスされた
TacomaのローカルチャートのTop10には入るもそれ以上は望めず、DJ達からの反応も一部では不評であった
ナイトクラブ「Blue Moon」でNokieがBobにリードとベースを交換しようと提案して、
Bobが初めていきなりステージでベースを弾くことになるのがこの頃
当時、Buck Owensはヒット曲を出したため、所属するCapitol Recordsはその活動地区をシアトル周辺から
ロスへ移すことを要請したがTacomaを離れたくないNokieはバンドを離れ地元で活動していた
この頃までNokieは2本のギターを所有している。1本はメイプルネックの「Fender Stratocaster」で
その全てを気に入っていたがミドルピックアップをピックでヒットしてしまうという理由で処分してしまい、
これ以後、しばらくは手許に残された「Fender Telecaster」1本で全てをまかなうことになる
(やがてトレモロアームが付いたギターが欲しくなり「Fender Jazzmaster」を買うのは後のはなし)
なお1990年代にこのシングルの海賊盤が出回ったのでご注意
見分け方は盤にエッチングされたmatrix numberにある
本物は「Blue Horizon 100-1 △32240 / Blue Horizon 100-2 △32241 」
偽物は「45-BH-100-1-RE / 45-BH-100-2-RE 」
なお本物にはmatrix number違いのセカンドプレスと思われる盤が存在する
「45 BH-100-1 Re △32895 / 45 BH-100-2 Re △32896 」
これは最初に500枚プレスしたのち追加でプレスされたものなのだろうか?
このセカンドプレスと思われる盤のmatrix #には『Re』があるがこれは
『Re-issue』の意味で追加プレスしたものだろうか?(当時の反響からするとこれは考えにくい)
それでは『Re-mastered』としてミキシング違いなのだろうか?
(私には#32240と#32895のミックスの違いがわからない)
またレーベルにある版権所有会社(だと思う)がファーストプレスでは「Starbrite Music」に対して
セカンドプレスと思われる盤ではお馴染みの「Electron Music」となっている
偽物は明らかにセカンドプレスの盤をコピーしたものと思われる
具体的には「matrix numberの形式」や「レーベルにあるElectron Music記載」や
「レーベルカラーの色合い」はかなり似せて作っているが残念ながら「盤の厚み」が薄すぎる
ベンチャーズのUSシングルは一般的に「音が良い」と言われているが全てがそうだとは言えないところが悩ましい
例えば「Rap City」のようにリードギターをオーバーダブさせたうえで溝が深いせいか迫力のサウンドを
実現させている盤もあれば、ブルーホライズン盤の「Walk, Don't Run」のようにマスターに一番近い最初の少量プレス
にもかかわらず今日CDや一般的なDOLTON LPで聴くことができるサウンドと区別がつかないほど同一だったり
まあ、そのへんがシングル盤コレクションの楽しみでもあるかもしれない