基本情報|Release Information
レーベル:Columbia
品番:EB-325
フォーマット:7インチ, 45RPM, EP
国:Japan
リリース年:1959
タグ:Rockabilly, Kayokyoku, Japan, 1950s, Youth Culture, Vocal Pop
作品の解読|Decoding the Work
このEP『ミヨチャン/あの日から』は、1959年という時代の輪郭を、そのまま7インチに転写したかのような記録である。歌うは平尾昌章、バックを務めるのはオールスターズ・ワゴン。日本のロカビリーがただの模倣ではなく、「声のかたち」として定着し始めた、その初期の震えを今に伝えている。
A面「ミヨチャン」は、ロカビリーという言葉がまだ“外来語”として若者たちの口の端に上り始めた頃の、純粋で無垢な情熱のスナップショットである。アメリカナイズされたリズムのなかに、明らかに日本的な湿度が混じる。声は軽やかで、だが必死で、繰り返される名前呼びのなかに、不器用な愛情の焦点が絞られてゆく。演奏はコンパクトだがよく練られており、音の抜き差しには即興性というより“制約のなかの創造”が聴こえる。
B面「あの日から」は打って変わって、ロカビリーの身体から一歩引いた、バラード的佇まい。楽曲構造は平易だが、そこで浮かび上がるのは、記憶の中で膨張していく“あの日”のイメージである。語りかけるような歌唱、切り返しのリズム、控えめなバック演奏──それらすべてが、ただのセンチメントではなく、「喪失の歌」としての力を持っている。
この時代のレコードは、情報メディアというより、情動の保持装置であった。再生されるたびに、誰かの「青春の輪郭」がもう一度浮かび上がる。そしてそれは、「ミヨチャン」という固有名の強さゆえに、匿名の誰かを代表する普遍性へと変換されていく。
アートワークには、1950年代的な色彩感覚と、軽やかなイラストレーションが溶け合っている。手書き風のロゴ、笑顔のアーティスト写真──それらはすべて、音楽と視覚のあいだにあった“希望”の記号だった。
本作は、日本の音楽文化における“はじまりの速度”が封じ込められた、まさにひとつのアーカイヴである。
状態詳細|Condition Overview
メディア:EX+(非常に良好)
ジャケット:EX+(全体良好)
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