River Plate Stadium, Buenos Aires,
Argentina
3rd September 1994
SBD
1. Supertzer
2. Children Of The Grave
3. Children Of The Sea
4. Into The Void
5. Black Sabbath
6. Neon Knights
7. War Pigs 8. The Wizard
9. Symptom Of The Universe
10. Headless Cross
11. Paranoid
12. Iron Man
13. Sabbath Bloody Sabbath
SOUNDBOARD RECORDING
Tony Iommi - Guitar
Tony Martin - Vocal
Geezer Butler - Bass
Bill Ward - Drums
Geoff Nicholls - Keyboards
元から存在感抜群だったギーザーのベー
スは、今回のリマスターで輪郭がよりはっ
きりと明瞭な形で浮き彫りとなり、ギタ
ーに並ぶ音色でそそり立っています。もち
ろんアイオミのプレイもさらに金属的な質
感を強め、ギラつく様なエッジでヘヴィリ
フの数々を刻み込んでいます。この両名に
負けじとマーティンのヴォーカル、そして
ビルのドラムがそれぞれ聴き手の眼前で絡
み合う。そんなライヴを楽しめるのです。
このツアーの初期には、ヴィニー・アピス
やロンディネリが叩いた曲も多くプレイさ
れましたが、3日目となる9月3日のセッ
トリストはブランク明けのビル に配慮
し、主にオジー時代と「HEAVEN AND H
ELL」以前の楽曲中心の構成へ変更され
ていました。これはビルがプレイしやすく
なるだけではなく、オリジナル・メンバー
ならではのドゥーミーで攻撃的な楽曲が増
える事にもなりました。オープニングから
連発される重厚な「Children Of The Gra
ve」や「Into The Void」に、ヘヴィネス
の代名詞のような「Black Sabbath」「W
ar Pigs」などは、ライヴ前半から休みな
しに聴き手を圧倒することでしょう。
それらオジー時代の楽曲へ絶妙なフック
を与えるのがロニー時代の名曲。 「Chil
dren Of The Sea」のメロディや「Neon
Knights」の疾走感は、ライヴの中で印象
的な起伏となって流れます。ライヴ後半は
'94年ライヴならではの聴き所が続きます。
「The Wizard」はオリジナルメンバーら
しい独特なグルーヴが聴き手に'70年代の
空気を吸わせてくれます。
曲前半のファストな攻撃性と後半のリラッ
クスしたムードが対照的な「Symptom O
f The Universe」は、ジャズにルーツを
持つSABBATHのエッセンスを楽しませて
くれます。
唯一のマーティン時代ナンバー「Headle
ss Cross」は(コージー・パウエルのオ
リジナルと較べてしまうと)ビルのプレ
イはやや物足りないかも知れませんが、そ
の分ギーザーの活躍は著しく、ローレン
ス・コトルやニール・マーレイの黙々と
したラインとは異なる荒々しさを覚えま
す。
低音の魅力たっぷりな本作のバランスは、
ギーザーのプレイを味わうにはピッタリ
です。セット本編を締めくくる「Parano
id」、アンコールで演奏される「Iron Ma
n」と「Sabbath Bloody Sabbahのメド
レーも、オリジナルの3人がそろう事で強
烈な"本物感"が漂っており、最後の最後ま
で痺れさせてくれます。重々しいギーザー
に尖ったアイオミ、そしてトリップさせる
ようなビルの倦怠感・・・これこそがSAB
BATHサウンド!
彼らの紡ぎだす楽音には「触れるな危険」
の注意書きが必要でしょう!長い歴史を持
つSABBATHには数多くのサウンドボード
音源が存在しますが、本作ほどの高級サウ
ンドでスペシャル編成を楽しめるものは本
当にわずかしかありません。(強いて挙げ
るならレイ・ギラン在籍時の1986年サン
・アントニオ公演、2004年カムデンのロ
ブ・ハルフォード代打公演くらいでしょう
か)