
矢口窯 香合 干支 牛 丑 田中穂山 鉄釉 撫牛信仰 天神様 菅原道真 1938年以前か 美品 共箱 黄布 田中 穂山 作太郎 茂原市 大多喜天然ガス
矢口窯の牛 丑の香合…静かで奥深い出来だと思います。干支物として製作されたものか または単独の香合として製作されたものか 軽率な判断が難しく思われる一品です。
箱の蓋に特徴的な墨書と穂山の印があり、本体蓋内にも矢口窯の銘があります。
茂原市の資料によると… 窯主である田中穂山(作太郎)氏は 明治17年生まれ。大正2年(1913)から10年間 三井物産の委託によりシンガポールで作陶。帰国後の大正14年(1925) 多摩川に“矢口窯”を築窯。昭和13年(1938)中国に渡り古窯の研究。戦争末期に帰国 信楽に疎開。昭和20年 天然ガス会社構内で天然ガスによる作陶を開始。“椿山荘”開業の際には食器一式を製作。昭和39年 茂原にて没。
経歴だけを拝見しても 大正期から戦後の復興期までの日本の推移・転変を一人で体現されている事が分かり目を見張ります。“明治人”の先進性と活力の凄さ…その嵩 現代人の数十倍はあろうかと思える程。別資料によると “矢口窯” の名は厳密には1925~1938年迄で、作者の居処の変化などに伴い その後は別名だったとの事。説明に従うと この品は90年ほど前の昭和初期の作という事になり 驚かされます。
小さな香合の中に 大正から昭和前期の “陶業”のみならず “産業界全体”の歴史が凝縮されている事が分かり感慨深いです。
鉄釉なのか 錆色の表面の下から黒色が覗き、金属質の重厚な感覚があり 神秘的です。高取の牛香合に近い味わいの “格” の高い 簡略化された表現が印象的で、古格に溢れた佇まいが 大変に結構だと考えます(作家さんの春秋ついては Web検索が可能です。ぜひご一読ください)。
室礼の一品としても 景物としても格好な品で、通年での使用が可能だと考えます。
更に 風姿から思い当たるのは“撫牛信仰”です。“五節句”などの 明るいお祝い事ならばともかく、“信仰”をお道具に取り入れる事があるのかどうか…私には分かりませんが、シルエットが 寺社の境内に置かれている“牛”の像にさも似たりな事に驚きます。“安寧・健康”を願う拠り所にしたのかも…と言う想像も広がります。加えて 牛と天神様 菅原道真公は大変に縁が深いです。天神様などをお分かりの方、受験生をお持ちの方などには喜ばれる、また心休めになる品かとも思います。
本体キズなど無く、良い状態だと思います。共箱は木色深く経年感ありますが、本体共々時間なりの古色で良い味わいだと思います。
概寸 w 7.2cm×d 5.3cm×h 2.7cm
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