1983年、エレクトラ・ミュージシャンは、ラジオ・フランスがパリのエスパス・カルダンで収録したビル・エヴァンスと彼のトリオ(ベース:マーク
・ジョンソン、ドラム:ジョー・ラ・バーベラ)のライブ演奏2曲をライセンス契約した。この演奏は、エヴァンスが亡くなる1年も前の1979年11月26
日の一夜に収録されたものである。1983年に『The Paris Concert, Edition One』、1984年に『The Paris Concert, Edition Two』という2枚のアル
バムとしてレーベルからリリースされた。 エディション・ワンのオリジナル・ライナーノーツでプロデューサーのヘレン・キーンは、「このパリ公演
のとき、ビル、マーク、ジョーは10ヶ月ほど一緒にいて、その間にビルはグループの可能性にますます熱中し、興奮していた」と書いています。この
刺激的な演奏は、彼が "スコット・ラファロとポール・モチアンとの最初のトリオに非常に近い "と表現したトリオに対する熱意と彼の気持ちを反映し
ていると思う。 エバンスがパリのエスパスカルダンに登場したのは、誰が見ても特別な一夜だった。ライナーノートを書いたバート・コロールによ
ると、このコンサートが録音されたとき、このピアニストは演奏家としてのキャリアの中で変化の時期にあったそうだ。スイングは否定できないもので
、以前からあったものだが、今は感情をつかみ、揺さぶり、影響を与える。リズムを操作することが多くなり、ソノリティを実験し、初期の頃よりはる
かに抑制のきいた動きをするようになった。ミスをすることや失敗することを恐れていないように見えた。劇中では、「やってみよう!」と言っているよ
見えた。マーク・ジョンソン&パット・ラバーバラを擁するビル・エヴァンス・トリオは、エヴァンスが率いた生涯最後のトリオであり、3者のコンビ
ーションの素晴らしさはスコット・ラファロがいた時代に匹敵するとまでいわれている。それを証明するのが80年のキーストン・コーナー・ライヴ盤で
あり、79年11月26日にパリのレスパス・カルダンで収録されたパリ・コンサートの実況盤、つまり本作ということになる。パリ・コンサートのライヴ盤
エヴァンスの死後、2枚に分けて発売された。これは第2集だが、同じ時の演奏を単純に2分割しただけなので、2枚の間にグレイドの差はない。音源は
ラジオ・フランス所有の放送用録音。相手の意図を察して絶妙なサポートをみせるジョンソン&ラバーバラを得たことによって、エヴァンスは自由気ま
まにみずからのインスピレーションを具体化していく。どの曲も素晴らしいが、特に17分に及ぶ<6>は得意中の得意曲であり、本作のハイライトとい
っていいだろう。ジャケットに使われているアンリ・カルチェ・ブレッソンの絵も美しい。(市川正二)
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