稲垣考二（いながき こうじ）は1952年愛知県生まれの洋画家で、愛知県立芸術大学油画科および大学院研修科を修了しました。1985年に国画会会員に推挙され、名古屋市芸術奨励賞（1993年）、裸婦大賞展優秀賞（1986年）、昭和会展優秀賞（1987年）、伊藤廉記念賞（1984年）、三越賞（1978年）など数々の受賞歴を持ちます。作風は、写真投影やCGに頼らない卓越した描写力で艶麗な作品を生み出すことに特徴があり、時代の流行に左右されず独自の画風を貫いています。油彩画、アクリル画、パステル、デッサンなど幅広い表現手法を用い、特に具象表現において高い評価を得ています。

稲垣考二（1952年愛知県生まれ）は、国画会の会員として長いキャリアを持ち、数々の賞を受賞してきた日本の画家です。彼は愛知県立芸術大学および同大学大学院を修了し、1979年に「第2回現代の裸婦展」で大賞を受賞、1986年には「裸婦大賞展」で優秀賞を獲得しました。また、1993年には名古屋市芸術奨励賞を受賞するなど、その描写力が高く評価されています。

稲垣考二「黒鶏」紙に油彩 6号 2021年作 近年作
本作品は、稲垣考二による卓越した描写力と独自の美的感覚が際立つ肖像画です。モデルの女性は、深い青色の背景に浮かび上がり、静かな表情で観る者を見つめています。特に彼女の顔の描写は非常にリアルで、肌の質感や瞳の輝き、微妙な陰影が精緻に表現されており、その美しさが際立っています。黒い羽毛を思わせる衣装が、タイトルである「黒鶏」を象徴しているかのようで、黒の持つ神秘性や力強さを感じさせます。

稲垣考二は、時代の流れに左右されず、自身の画風を追求し続けてきた異彩の作家です。この作品でも、彼が得意とする緻密な筆致と、モデルの内面に迫るような繊細な描写が見られ、観る者に深い印象を与えます。また、写真投影やCGなどの現代的な技術を用いず、伝統的な手法によってこのリアリティを実現している点でも、稲垣の技術の高さが際立っています。

「黒鶏」というタイトルが示唆するように、モデルの神秘的で力強い存在感が絵全体に広がり、作品は単なる美の表現にとどまらず、深い物語性や象徴性をも感じさせる一枚です。貴重な2021年制作の近年作、画伯の美人像の名画です。