F4240 ウリキリ!光風霽月(こうふうせいげつ)の輝き 最高級Pt900無垢ペンダント 天然ダイヤモンド1.00ct 花の雫

F4240 ウリキリ!光風霽月(こうふうせいげつ)の輝き 最高級Pt900無垢ペンダント 天然ダイヤモンド1.00ct 花の雫 收藏

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ご入札をご検討いただき、誠にありがとうございます。
これは単なる宝飾品ではございません。一つの物語であり、哲学であり、これから人生の荒波に漕ぎ出す、すべての勇敢なる魂に捧げる護符(アミュレット)でございます。
長文となりますが、このジュエリーが宿す本当の価値をご理解いただくため、しばし私の拙い筆にお付き合いいただければ幸いです。

光風霽月(こうふうせいげつ)の輝き Pt900天然ダイヤモンド1.00ct 無垢ペンダント 花の雫

第一章:星岡窯の炭素塊

鎌倉の谷戸(やと)の奥深く、俗世の喧騒が蝉時雨の向こうにかすんで消える場所に、その邸宅はある。苔むした石段を登り、山門を模した簡素な門をくぐると、そこはまるで時が止まったかのような静寂と、濃密な生命の気に満ちた空間が広がっていた。北大路 玄山(きたおおじ げんざん)――。陶芸家にして美食家、書家、漆芸家、そして何よりも稀代の偏屈家としてその名を知られる老人の住まい兼工房、『星岡窯(せいこうよう)』である。
私がこの狷介(けんかい)な老人の下に出入りするようになって、早三年が経つ。しがない骨董屋の若造である私を、師である玄山は「ひよっこ」だの「見る目のない若僧」だのと罵りながらも、こうして書斎に上げてくれるのだから、不思議なものである。
「わたる、そこに突っ立っておるな。邪魔だ。茶を淹れろ。お前が先日持ってきた、あのやぶきただ。ただし、湯の温度は七十度。一滴でも違えば叩き出すぞ」
書斎の真ん中に置かれた巨大な欅(けやき)の一枚板の机に向かい、何やら毛筆で紙を睨みつけていた玄山が、顔も上げずに言った。その声は、冬の枯れ川の底を転がる石のように、乾いていながらも重い響きを持っていた。私は「はい」と短く返事をし、慣れた手つきで鉄瓶の湯を湯冷ましに移し、師が自ら作ったという、鈍い緑色を帯びた信楽(しがらき)の急須に茶葉を準備した。
この書斎は、玄山の宇宙そのものだ。壁一面に設えられた書棚には、古今東西の美術書や陶磁大観、料理に関する古書がぎっしりと詰まっている。床には、これから窯に入れるのであろう、まだ生乾きの土の匂いを放つ壺や皿が無造作に置かれ、机の上には墨と硯、そして用途不明の骨董品が、さながら小宇宙の星々のように配置されている。
「師匠、お茶が入りました」
私が差し出したのは、これもまた師の作である、わずかに歪んだ形の井戸茶碗だった。その不均衡な形が、不思議と手にしっくりと馴染む。玄山は筆を置くと、茶碗を両手で包み込むように持ち、まずはその香りを深く吸い込んだ。そして、一口、ゆっくりと茶を啜る。
「……まあ、及第点だ。茶葉の甘みが辛うじて立っておる。だが、お前の心に迷いがあるな。そのせいか、茶の味に雑味が混じる。何を考えとる」
見透かされた、と私は息を呑んだ。実は今日、私が師の元を訪れたのは、ある依頼品を携えていたからだ。それは、現代宝飾の極みともいえる、ダイヤモンドのペンダントトップだった。玄山が最も嫌うものの一つであることは、火を見るより明らかだった。
「実は、師匠にご意見を伺いたい品がございまして…」
おずおずと切り出す私を、玄山は鷹のような鋭い目で一瞥した。
「品だと?またどこぞの成金が掴まされた、くだらん贋物(がんぶつ)か。お前も少しは目が肥えてきたかと思ったが、まだまだだな」
「いえ、そういうものでは…」
私は懐から、桐の小箱を取り出した。そして、ゆっくりと蓋を開け、中に収められた品を玄山の前に差し出した。
それは、プラチナの台座に、眩いばかりの輝きを放つダイヤモンドが設えられたペンダントトップだった。中央に一石、その周りを六石のやや小ぶりなダイヤモンドが花びらのように取り囲み、一つの大輪の花を形作っている。その花の上には、流れるようなラインを描くプラチナのバチカン(チェーンを通す部分)があり、そこにも小さなメレダイヤがびっしりと敷き詰められていた。
玄山は、一瞬、眉間に深い皺を刻んだ。その表情は、極上の料理に砂が一粒混じっていたかのような、あからさまな不快感を物語っていた。
「……なんだ、これは」
吐き捨てるような声だった。
「ダイヤモンド、か。ただの炭素の塊ではないか。地球の奥深くで、途方もない圧力と熱によって結晶化しただけの石ころだ。人間が勝手に価値を付け、切り刻み、磨き上げたところで、その本質は変わらん。こんなものに、何の価値がある。何の美があるというのだ」
玄山は、指一本触れようとしない。その目は、ペンダントを通り越し、その向こうにある虚空を見ているかのようだった。
「こんなキラキラしただけの代物に、大枚をはたく人間の気が知れん。本物の美というものは、もっと静かで、深く、そして用の中にあるものだ。わしが作ったこの茶碗を見ろ。土くれから生まれ、炎に焼かれ、人の手に渡って茶を注がれて初めて、その命が吹き込まれる。使うほどに味わいを増し、持ち主の人生と共に時間を刻んでいく。そういうものこそが、真の『宝』というものだ。こんな、ただ己の輝きを主張するだけの石ころに、何の物語がある」
厳しい断罪だった。しかし、私には反論の言葉もない。確かに、師の言う通りかもしれない。だが、このペンダントには、持ち主の切実な物語が込められているのだ。私が口を開こうとした、まさにその時だった。
「ごめんくださいまし」
玄関の方から、鈴を転がすような、しかしどこか芯の通った女性の声が聞こえた。
「玄山先生はいらっしゃいますか。私、先日お電話いたしました、高村と申します」
玄山は、不機嫌そうに鼻を鳴らした。
「…来たか。わたる、入れてやれ。そして、そのくだらん石ころはさっさとしまえ。客人の目が汚れる」
私は慌てて桐箱の蓋を閉め、立ち上がった。高村と名乗る依頼人、彼女こそが、このダイヤモンドのペンダントにまつわる物語の主役であり、そして、玄山の深遠な哲学の海に、一石を投じることになる人物だったのである。

第二章:相克の予兆

玄関の引き戸を開けると、そこに立っていたのは、凛とした佇まいの若い女性だった。歳は二十代後半だろうか。生成り色の麻のワンピースが、彼女の持つ清潔な雰囲気を引き立てている。しかし、その涼しげな目元には、拭い去れない憂いのようなものが影を落としていた。高村美咲(たかむら みさき)と名乗った彼女は、深々と頭を下げた。
「突然のご訪問、申し訳ございません。本日はよろしくお願いいたします」
その丁寧な物腰に、私はかえって緊張を覚えた。玄山という人を知っていれば、この礼儀正しさが逆効果になることすらあり得るからだ。
書斎に通された美咲さんは、玄山の前に正座すると、改めて自己紹介をした。彼女はある旧家の令嬢で、近く結婚を控えているという。そして、私の予想通り、今日ここへ来た目的は、彼女の抱える結婚への迷いを、玄山に聞いてもらうためだった。
「…それで、何の用だ。わしは人生相談の窓口ではないぞ。ましてや、小娘の痴話話に付き合うほど暇ではない」
玄山は、腕を組み、仁王像のようにふんぞり返って言った。その威圧的な態度に、美咲さんは一瞬怯んだように見えたが、すぐに意を決したように顔を上げた。
「はい、重々承知しております。ですが、父が生前、玄山先生のことを大変尊敬しておりまして…『物事の本質を見抜くことにかけて、先生の右に出る者はいない。もし人生に迷うことがあれば、一度、先生のお話を伺いなさい』と、常々申しておりました。その父も、昨年他界いたしまして…」
美咲さんの声が、わずかに潤んだ。亡き父の言葉を頼りに、藁にもすがる思いでここへ来たのだろう。
「ふん。お前の親父は、見る目があったのか、なかったのか…。それで、悩みとは何だ。手短に話せ。わしはこれから、窯の火入れの準備がある」
玄山の言葉は相変わらず辛辣だが、その声には先程までの刺々しさが少しだけ和らいでいるように聞こえた。父親への敬意を口にしたことが、この偏屈な老人の心の、ほんの小さな琴線に触れたのかもしれない。
美咲さんは、一度、深く息を吸い込んだ。
「私には、婚約者がおります。誠実で、仕事にも熱心な、素晴らしい人です。周囲の誰もが、良いご縁だと祝福してくれます。…ですが、どうしても、拭えない不安があるのです」
「不安?」
「はい。彼と私は、あまりにも違いすぎるのです。性格も、趣味も、金銭感覚も…育ってきた環境も。私は静かな場所で本を読んだり、美術館を巡ったりするのが好きなのですが、彼は大勢で集まってスポーツをしたり、賑やかな場所へ出かけたりすることを好みます。私が美しいと思う器を、彼は『ただの皿』だと言い、彼が面白いというテレビ番組を、私は少しも面白いと思えない。ささいなことの積み重ねなのですが、共に暮らしていくことを考えると、時々、息が詰まるように感じてしまうのです」
美咲さんの言葉は、切実だった。誰もが経験するであろう、パートナーとの価値観の相違。しかし、彼女にとっては、それが未来を揺るがすほどの大きな問題となっていた。
「先日も、些細なことで口論になりました。彼が、私の大切にしていた母親の形見のカップを、うっかり割ってしまったのです。彼は平然と『ごめん、同じものを買えばいいだろう?』と言いました。悪気がないのは分かっています。でも、私にとってそれは、世界に一つしかない、お金では替えられないものだったのです。そのことを伝えても、彼は『そんなに怒ることないじゃないか』と、全く理解してくれませんでした。その時、ああ、この人とは、本当に大切なものを共有できないのかもしれない、と思ってしまったのです」
彼女の目に、大粒の涙が浮かんだ。
「こんなに美しいものを私に遺してくれた母のように、私も幸せな結婚ができると信じておりました。でも、今の私には、その自信がありません。…私は、結婚するべきではないのでしょうか」
そう言うと、美咲さんは懐から、一つの包みを取り出した。そして、それを開いた瞬間、私は息を呑んだ。そこに現れたのは、先程、玄山に「くだらん石ころ」と一蹴された、あのダイヤモンドのペンダントトップだったのだ。
「これは…母の形見です。父が母に贈ったもので、母はこれをとても大切にしておりました」
ペンダントは、美咲さんの震える手のひらの上で、まるで彼女の涙を映すかのように、きらきらと悲しい光を放っていた。
玄山は、しばらくの間、黙ってそのペンダントを見つめていた。その表情は能面のように固く、何を考えているのか全く読み取れない。やがて、重い沈黙を破って、ゆっくりと口を開いた。
「…小娘。その石ころを、こちらへ寄越せ」
その声には、もはや不快感の色はなかった。ただ、底知れないほどに深く、静かな響きだけがあった。

第三章:傷だらけの石たち

美咲さんは、おそるおそるペンダントを玄山の前に差し出した。玄山は、それを無言で受け取ると、机の引き出しから、年季の入った拡大鏡(ルーペ)を取り出した。そして、まるで初めて見る希少な鉱物でも鑑定するかのように、ペンダントを様々な角度から、じっくりと観察し始めた。
書斎に、時計の秒針の音と、玄山の低い呼吸の音だけが響く。やがて玄山は、ふん、と鼻を鳴らした。その表情には、侮蔑とも呆れともつかない色が浮かんでいた。
「…なんだこれは。見かけ倒しではないか。よく見れば、傷だらけだ」
玄山は、ルーペを目から離し、ペンダントを机に置いた。
「中央の石には、はっきりと黒いインクルージョンが見える。周りの石にも、曇りや細かい傷がいくつもある。宝石としての価値で言えば、お世辞にも『一級品』とは言えん。ただ大きいだけの、いわば『傷物(きずもの)』だ。お前の親父は、見る目がないのか、それともこれを掴まされたのか…」
その言葉は、美咲さんの顔から血の気を奪うのに十分だった。彼女は、唇をかみしめ、俯いてしまった。父と母の大切な思い出の品が、無価値なもののように断じられたのだから、無理もない。
しかし、玄山は、再びペンダントを手に取ると、今度は先程とは違う、何かを探るような目でそれを見つめ始めた。
「……いや、待てよ」
彼は、独り言のようにつぶやいた。
「この職人…、あえて、この傷だらけの石を選んだとでも言うのか…?」
玄山の纏う空気が、がらりと変わった。彼は、まるで難解な公案を解く禅僧のように、眉間に深い皺を刻み、ペンダントと対峙している。
「…そうか。そういうことか…」
やがて、彼は顔を上げた。その目には、驚きと、そしてある種の畏敬の念さえ浮かんでいた。
「小娘、顔を上げろ。お前の父親は、とんでもない慧眼の持ち主だ。そして、これを作った職人も、ただ者ではない」
「え…?」とまどう美咲さんに、玄山は力強く言った。
「いいか、この世に、完璧な人間など一人もおらん。お前さんも、わしも、ここにいる若造も、誰もが心に消えない傷や、人には言えぬ欠点を抱えて生きている。違うか?」
美咲さんは、こくりと頷いた。
「このペンダントはな、その『人間の不完全さ』そのものを、美として表現しておるのだ。この七つの石は、大きさも、カットも、そして、その傷の入り方さえも、一つとして同じものはない。ある石は、内側から滲むような光を放ち、ある石は、その黒い点を中心に、かえって力強い輝きを見せている。職人は、この傷を欠点として隠すのではなく、あえてそれぞれの石が持つ『個性』、その石だけの『景色』として、見事に生かしきっているのだ」
玄山の言葉は、熱を帯びていた。
「無傷で、透明なだけの石ころの輝きなど、薄っぺらい。底が浅いのだ。だが、この石たちの輝きには、深みがある。傷を抱え、それでもなお、内なる光を懸命に放とうとする、生命の力強さがある。これは、ただの宝石ではない。傷つき、悩み、それでも寄り添いあって生きる、人間の姿そのものの縮図なのだ」
玄山は、そのプラチナの台座を指し示した。
「そして、この傷だらけで、個性もバラバラな石たちを、一つの『花』として、一つの家族として、力強くまとめ上げているのが、このプラチナの台座だ。プラチナは、衝撃を受けても砕けず、しなやかに伸びて石を離さない『粘り強さ』を持つと、さっき言ったな。傷だらけの者同士が、時にぶつかり、反発しながらも、決して離れることのない、強靭で、そして慈愛に満ちた『絆』。このペンダントは、それを形にしておるのだ」
玄山は、ペンダントをそっと美咲さんの手のひらに返した。
「お前の母親は、これをただの綺麗な石ころとして見ていたわけではあるまい。この傷だらけの石に込められた、職人の哲学、そして、お前の父親の深い想いを、きちんと理解していたはずだ。『我々は完璧ではない。傷だらけかもしれない。だが、それでも共に歩み、互いを照らし合っていこう』…そんな、声なき声を聞いていたに違いない」
美咲さんの手のひらで、傷だらけのダイヤモンドたちは、まるでその言葉に応えるかのように、温かく、そして力強い光を放っていた。それは、無機質な宝石の輝きではなく、血の通った、生命の輝きそのものだった。

第四章:最も相性の悪い相手

玄山は、ゆっくりと自分の席に戻り、すっかり冷めてしまった茶を一口啜った。そして、まるで独り言のように、静かに語り始めた。
「…皆、勘違いしておる」
その言葉は、目の前の美咲さんだけでなく、隣で聞き耳を立てている私にも、そして、この世の全ての恋人たち、夫婦たちに向けられているように聞こえた。
「結婚相手、配の偶(つれあい)とはな、一番相性の良い相手と結ばれるのが幸せだと思っておる。笑いのツボが同じ、好きな食べ物が同じ、価値観が同じ。そんなものは、ただの『友達』で十分だ。心地良いだけの関係に、何の成長があるというのだ」
玄山は、窓の外の、鬱蒼と茂る木々へと視線を移した。その目は、遠い過去を映しているようだった。
「いいか、よく聞け。結婚とはな、一番相性の悪い相手とするのが道理なのだ」
あまりに突拍子もない言葉に、美咲さんも私も、ただ呆然と玄山の顔を見つめるしかなかった。常識とは、あまりにもかけ離れた暴論。しかし、玄山の口から発せられると、それは抗いがたい真理のように響いた。
「考えてもみろ。自分と全く同じ人間が、もう一人いたとして、面白いか?鏡に向かって話しているようなものだ。何の発見も、驚きもない。自分にないものを持っている相手、自分の理解を超えた行動をとる相手、自分の常識が全く通用しない相手。そういう相手と向き合うことで、初めて、人間は自分自身の輪郭を知るのだ。『なぜ、こいつはこう考えるのだ?』『なぜ、こんなことで怒るのだ?』『なぜ、こんなものを美しいと思うのだ?』…相手を理解しようと、もがき、苦しみ、時に憎しみさえ覚える。その過程で、自分がいかに狭い世界で、凝り固まった価値観に縛られて生きてきたかを、骨身に染みて思い知らされる」
玄山の言葉は、次第に熱を帯びていった。
「相性の悪い相手と暮らすこと。それこそが、人生における最大の『修行』なのだ。相手は、自分を映し出す、最も手厳しい鏡だ。その鏡に映る、自分の傲慢さ、未熟さ、身勝手さ、偏狭さ。それを見せつけられ、打ちのめされ、それでも逃げずに向き合い続ける。互いの凸凹(でこぼこ)を、ヤスリで削り合うように、毎日、毎日、ぶつけ合い、削り合い、磨き合う。痛みを伴わぬ修行など、ありはせん。そうやって、角が取れ、丸くなり、いつしか、互いがなければ成り立たない、唯一無二の形になっていく。それこそが、人間がこの世に生まれてきた意味そのものではないのか。安楽なだけの人生に、何の価値がある。苦しんで、悩んで、乗り越えた先にある境地こそが、本物だ」
彼は、私の方をちらりと見た。
「この傷だらけのダイヤモンドも、そうだ。ただの炭素が、地底の奥深くで、想像を絶する圧力と熱という『苦しみ』に耐え抜いたからこそ、この世で最も硬い結晶となる。その過程で、不純物を取り込み、傷がつく。だが、それこそが、その石が生きてきた証であり、個性となる。人間も、全く同じことだ」
玄山の言葉は、一つの巨大な理論となって、私たちの心に深く突き刺さった。相性が悪いことこそが、祝福である。苦しみと不完全さこそが、輝きへの道である。それは、あまりにも苛烈で、しかし、抗いがたい説得力を持つ哲学だった。
「お前さんの婚約者…価値観が違う、話が合わんと言ったな。結構なことではないか。それは、お前さんにとって、最高の修行相手であるという証だ。彼が、お前の母親の形見のカップを割った。そして、『同じものを買えばいい』と言った。腹が立っただろう。悲しかっただろう。だがな、その時、お前さんは何を学んだ?『モノ』には、金銭的価値では測れない『物語』や『想い』が宿るということを、彼にどう伝えれば分かってもらえるのか、必死で考えたはずだ。それは、お前さん自身の『想い』を、より深く見つめ直す機会になったのではないか。彼にとっても、そうだ。お前さんの涙を見て、彼は初めて、『モノ』の向こう側にある、人の心の機微というものを、ほんの少し垣間見たはずだ。それもまた、彼にとっての『学び』であり『修行』なのだ」
美咲さんは、はっとしたように顔を上げた。彼女の中で、何かが音を立てて組み変わっていくのが、隣にいる私にも分かった。怒りや悲しみだと思っていた出来事が、実は、互いを成長させるための、かけがえのない機会だったのかもしれない。
「相性が悪いことを恐れるな。違いを嘆くな。むしろ、それを喜べ。お前さんたちは、互いを磨き上げるために出会った、最高の砥石(といし)なのだから」
玄山は、そう言って、話を締めくくった。書斎には、再び静寂が戻った。だが、その静けさは、先程までの張り詰めたものではなく、まるで激しい雨が上がった後の、澄み切った空気のような、穏やかさに満ちていた。

第五章:サンマが寂しげに見える大皿

玄山は、ふと遠い目をして、窓の外に広がる庭を眺めた。その横顔は、いつもの偏屈な老人ではなく、長い旅路の果てに何かを見つけた求道者のようにも見えた。
「…わしにも、いたのだ」
ぽつりと、彼は呟いた。
「わしにとって、最も相性の悪い相手がな。…わしの、女房だ」
私と美咲さんは、顔を見合わせた。玄山の奥様が、十年ほど前に亡くなっていることは、噂に聞いていた。だが、師が自ら奥様の話をされるのを、私は初めて聞いた。
「あいつの名前は、小夜子(さよこ)といった。…まあ、わしとは、水と油どころか、火と氷だった。何から何まで、全く合わんかった」
玄山は、どこか懐かしむように、そして、少しだけ照れたように、そう言って笑った。その顔は、私が今まで見たことのない、柔らかな表情だった。
「わしが命を削って焼き上げた器を、あいつは平気で『使いにくい』と言い放った。わしが、旬の素材の粋を集めて作った料理を、『もっと普通のおかずが食べたい』と宣(のたま)った。わしが美しいと思うものを、ことごとく否定し、わしが価値がないと思う、そこらに咲いている雑草のようなものを、愛おしそうに眺めているような女だった」
玄山の回想は、まるで昨日のことのように、鮮やかに始まった。
「忘れもしない。あれは、わしが四十代半ば、陶芸家として少しは名が売れ始めた頃のことだ。わしは、それまでの自分の仕事の集大成として、生涯の傑作となるべき一枚の大皿を焼き上げようと、心血を注いでおった。信楽の土を使い、穴窯で七日七晩、火を絶やさずに焼いた。窯から出した時、わしは己の仕事に打ち震えた。見事な緋色(ひいろ)の火襷(ひだすき)が走り、自然釉(しぜんゆう)のビードロが、まるで緑色の宝石のように皿の上に流れていた。大きさも、形も、焼き上がりも、全てがわしの計算を超えた、神の領域の仕事だった。これぞ、わしの最高傑作だ。わしは、そう確信した」
玄山は、その時の興奮を思い出すかのように、ぐっと拳を握りしめた。
「意気揚々と、その大皿を家に持ち帰り、小夜子に見せた。『どうだ、これぞわしの最高傑傑作だ!』と。すると、あいつは何と言ったと思う?」
玄山は、私と美咲さんに問いかけた。
「…『まあ、綺麗ですね』とでも…?」美咲さんが、おそるおそる答えた。
「違う!」玄山は、声を張り上げた。「あいつはな、その大皿をじろじろと眺め回した挙句、こう言ったのだ。『まあ、見事なお皿ですこと。でも、あなた、こんなに大きなお皿、何をお乗せになるつもりです?秋刀魚一匹ぽつんと置いたのでは、あまりに間が抜けて見えて、かえって貧相ですわ。それに、こんなに重くては、洗うだけで骨が折れますね』…と!」
その時の光景が目に浮かぶようで、私は思わず噴き出しそうになった。芸術の極致を目指す夫と、あくまでも日常の「用の美」と「盛り付けの美学」を追求する妻。これほど噛み合わない会話も珍しい。
「わしは、頭に血が上るとは、ああいうことを言うのだと知った。目の前が真っ赤になった。この女には、わしの芸術が、わしの苦しみが、何一つ分からんのだ、と。わしは、その場で大皿を叩き割りそうになるのを、必死でこらえた。そして、怒鳴り散らした。『馬鹿者!これはな、料理を乗せるための皿ではない!わしの魂の結晶だ!これは、このまま床の間に飾って、その景色を眺めるためのものだ!』と。だが、小夜子は、きょとんとした顔で、『お皿なのに、使わないのですか?可哀想に』と、呟くだけだった」
その日から、玄山は小夜子と口も利かなくなったという。大皿は、宣言通り、書斎の床の間に飾られた。しかし、見るたびに、小夜子の「サンマが貧相に見える」という言葉が蘇り、腹立たしい気持ちが込み上げてくる。自分の芸術を全く理解しない妻への怒りと、同時に、どこかでその言葉が的を射ているような気がしてならない自分への苛立ち。
「数週間が経った、ある日のことだ。わしが工房から戻ると、家の中が妙に静まり返っておる。不審に思って書斎を覗くと、あるはずの場所に、あの大皿がなかった。わしは、血の気が引いた。まさか、あいつ、わしの大皿を勝手に売り払いでもしたか、と。怒りに任せて居間へ駆け込むと、そこに、信じられない光景が広がっていた」
玄山は、そこで一度、言葉を切った。そして、ゆっくりと続けた。
「…居間のテーブルの上に、あの大皿が置かれていた。そして、その上には…、あいつが、庭で摘んできたのであろう、名も知らぬ野の花や、青々とした苔、色づき始めた紅葉の葉、小さな木の実なんかが、まるで絵画のように、見事に盛り付けられていたのだ。それは、料理ではなかった。いわば、自然の断片を寄せ集めた、小さなインスタレーションのようなものだった。わしが意図した緋色の火襷(ひだすき)の流れに沿うように、赤い木の実が置かれ、ビードロの緑の釉薬の上には、瑞々しい苔が配置されていた。わしが『景色』と呼んで誇りにしていた皿の模様を、小夜子は、わしとは全く違う方法で読み解き、そして、わしの想像を遥かに超えた『美』を、そこに現出させていたのだ」
呆然と立ち尽くす玄山に、小夜子は、いつものように淡々と言った。
「あら、お帰りなさい。このお皿、こうして飾った方が、ずっと素敵だと思いませんこと?床の間で、埃をかぶっているだけでは、お皿が可哀想ですもの」
その瞬間、玄山の中で、何かが崩れ落ち、そして、何かが生まれたという。
「わしは、打ちのめされた。完敗だった。わしは、自分の作った器の可能性を、自分自身で狭めていたのだ。『これは、こういうものだ』という、凝り固まった自分の価値観に、がんじがらめになっていた。それを、芸術の『げ』の字も知らんはずの、この女が、いとも容易く打ち破り、わしに新しい視点を教えてくれた。わしが追求していた『美』は、あまりにも独りよがりで、偏狭なものだったと思い知らされた。…あの一件以来、わしの作る器は、変わった。使う人間の創造力を掻き立てるような、『余白』を、意図的に作るようになった。わしの芸術は、あの『一番相性の悪い女』によって、磨かれ、深められ、そして、救われたのだ」
玄山の目には、うっすらと光るものがあった。
「喧嘩は、絶えなかった。死ぬまで、互いを完全に理解し合うことなど、ついぞなかった。だがな…」
彼は、懐かしむように、天井を仰いだ。
「あいつのいない食卓は、どんなご馳走を並べても、どうにも、味がせんのだ」
その言葉は、どんな愛の言葉よりも深く、重く、そして、温かく、私たちの胸に響き渡った。

第六章:光風霽月の輝き

長い回想を終えた玄山は、ふっと我に返ったように、机の上のペンダントに再び目を落とした。その表情は、もはや厳しい鑑定家のものではなく、古い友人に語りかけるような、穏やかなものに変わっていた。
「…高村の小娘」
玄山は、美咲さんに静かに語りかけた。
「お前さんの母親が遺した、この傷だらけのペンダント。これは、単なる美しい宝飾品ではない。これは、人生の『指南書』であり、夫婦という『修行』を共にする者への、最高のエールなのだ」
彼はペンダントをそっとつまみ上げ、光にかざした。七つの不完全なダイヤモンドが、まるで呼応するかのように、一斉に複雑で温かい光を放った。
「このペンダントが本当に語りかけているのは、こういうことだ。『汝、己を知れ。汝の中にある光も影も、そしてその傷も、全て受け入れよ。完璧ではない自分を、まず汝自身が愛せ。そして、汝が出会う他者との違いを恐れるな。その違いこそが、汝を磨き、輝かせる砥石である。傷だらけの者同士、強固で、粘り強い絆を持って、その関係性から逃げることなく、向き合い続けよ。そうすれば、個々の不完全な輝きは、やがて一つに調和し、ただ完璧なだけの石には決して出せない、深く、温かく、そして、想像を絶する大いなる光を放つだろう』…と」
彼は、そっとペンダントを美咲さんの手のひらに返した。
「雨が上がり、風が爽やかに吹き、月が澄み渡る空に明るく輝く。そんな、心に何のわだかまりもない、晴れやかで清々しい境地を、『光風霽月(こうふうせいげつ)』と言う。このペンダントの輝きは、まさにそれだ。己の不完全さも、他者との違いも、全てを受け入れた先にある、苦しい修行の果てにたどり着く、魂の境地の輝きなのだ。これは、お前の母親がお前に遺した、最後の、そして最高の手紙なのだ。お前の父親も、きっと、同じ想いでこれを贈ったに違いない」
美咲さんの手のひらで、ペンダントが静かに、しかし力強く輝いていた。それはもはや、単なる形見の宝石ではなかった。両親からの愛と、これから始まる人生への励まし、そして、玄山が解き明かしてくれた、深遠な哲学そのものだった。
美咲さんの目から、一筋の涙が、静かに頬を伝った。しかし、それは、先程までの不安や悲しみの涙ではなかった。迷いが晴れ、覚悟を決めた人間の、清々しい涙だった。
「…先生。ありがとうございました」
彼女は、深く、深く、頭を下げた。
「私、分かったような気がします。私が彼との『違い』に感じていた息苦しさは、彼を、そして、完璧ではない私自身を受け入れる覚悟が、私に足りなかったからなのですね。彼といる時の、あの居心地の悪さこそが、私が向き合うべき『修行』だったのですね」
彼女は、ペンダントをぎゅっと握りしめた。
「私、彼と、もう一度きちんと話をしてみます。いいえ、彼と共に、傷だらけのままで、修行の道を歩んでいこうと思います。このペンダントを、お守りにして」
その顔は、ここへ来た時とは別人のように、晴れやかで、力強い光に満ちていた。

第七章:味のしない食卓

高村美咲さんが、晴れやかな顔で星岡窯を後にしてから、しばらくの時間が経った。書斎には、私と玄山の二人だけが残された。西に傾いた陽が、障子を通して、長い光の筋を室内に投げかけている。
私は、先程の玄山の話を反芻しながら、まだその興奮の余韻に浸っていた。あの傷だらけのダイヤモンドから、あれほどまでの物語と哲学を紡ぎ出すとは。この老人の慧眼(けいがん)には、改めて畏怖の念を抱かざるを得ない。
「…師匠」と、私はおずおずと口を開いた。「先程のお話、大変、感銘を受けました。ですが、一つだけ、お伺いしてもよろしいでしょうか」
「何だ」
「師匠は、奥様との結婚生活を『修行』だとおっしゃいました。では…師匠は、奥様といて、幸せではなかったのですか?」
それは、ずっと私の胸につかえていた、素朴な疑問だった。「修行」という言葉の裏にある、本当の感情を知りたかったのだ。
玄山は、私の問いには答えず、ゆっくりと立ち上がった。そして、書斎の隅にある、小さな厨(くりや)の方へと歩いていった。
「…わたる。腹は減っておるか」
「え?」
「今夜は、わしが何か作ってやろう。お前さん、まだ夕飯はこれからだろう」
そう言うと、玄山は慣れた手つきで、まな板と包丁を取り出した。そして、冷蔵庫から、大根と、油揚げ、そして、鶏肉を取り出した。
「小夜子がな、好きだったのだ。この、何の変哲もない、ただの煮物が」
トントントン、と軽快なリズムで、大根が厚い輪切りにされていく。その手つきは、陶芸の土をこねる時と同じように、無駄がなく、力強く、そして、どこまでも優しかった。
「幸せ、か…」
玄山は、独り言のように呟いた。
「そんな、陳腐な、安っぽい言葉で、あいつとの日々を言い表すことなど、できはせんよ。わしとあいつの間には、幸せだの、不幸だのという、生ぬるい物差しは、通用せんかった。あるのは、ただ、烈しい『生』そのものだけだった。憎しみ、怒り、呆れ、そして、ほんの少しの…慈しみ。それらが、ごちゃ混ぜになった、混沌とした、しかし、どうしようもなく生き生きとした時間だった」
鍋に、だしと、具材が入れられていく。醤油と味醂の、甘く香ばしい香りが、ふわりと書斎に漂い始めた。
「わしは、あいつに、生涯、一度も『愛している』などと言ったことはなかった。あいつも、そうだ。だがな…」
玄山は、鍋の火を弱火にすると、静かに振り返った。その顔には、深い皺が刻まれ、一見すると、いつもの気難しい老人の顔だった。だが、その瞳の奥には、これまで私が見たこともないような、穏やかで、澄み切った光が湛えられていた。
「…あいつのいない食卓は、どんな極上の素材で、どんなに手間をかけた料理を作ったところで、どうにも、味がせんのだ」
そう言って、彼は、ほんの少しだけ、寂しそうに笑った。
その横顔は、まさしく、激しい雨風が過ぎ去った後の、晴れ渡った空のようだった。
『光風霽月』。
私は、その言葉を、心の中で静かに繰り返した。
厳しい修行の果てにたどり着く、その境地。それは、幸せという言葉ではあまりにも足りない、もっと深く、もっと尊い、人間の魂の輝きそのものなのかもしれない。
コトコトと、煮物の煮える優しい音だけが、静まり返った星岡窯の黄昏に、いつまでも響いていた。


(2025年 07月 10日 15時 35分 追加)
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