希少図録本 運慶 中世密教と鎌倉幕府 写真解説 仏像 古仏 密教美術 仏教美術 鎌倉仏教
円成寺大日如来坐像 真如苑大日如来坐像 光得寺大日如来坐像 称名寺光明院大威徳明王像 他
国宝 重要文化財 像内納入品 不動明王像 毘沙門天像 金剛力士像 帝釈天像 称名寺聖教群
神奈川県立金沢文庫
2011年
約30x21x1cm
87ページ
ソフトカバー
フルカラー 130図超 小論文掲載参考図版10図カラー多数
※絶版
世界的に知られた仏師運慶の、数少ない真作を集めた夢のような企画展の会場限定公式図録本。
運慶の初作として著名な奈良円成寺の大日如来坐像をはじめ、半世紀ぶりに運慶の真作として発見された称名寺光明院所蔵の大威徳明王像など7体の仏像作品を紹介、また像内納入品、称名寺聖教群のうち、運慶の造像・修理関係の重要史料ほかを掲載。
主要な作品、円成寺の大日如来坐像、真如苑の大日如来坐像、光得寺の大日如来坐像、大威徳明王像は正面、側面、背面や底部などさまざまな方向から見ることができ、真如苑の大日如来坐像、光得寺の大日如来坐像はX線透過画像や、大威徳明王像の像内納入品(舎利容器、大威徳種字・梵字三身真言・梵字愛染明王真言・梵字千手陀羅尼の全図と奥書)など、
130余の写真を掲載。
コラムでは、願成就院蔵像内納入銘札と心月輪、運慶作品の荘厳金具 ―流山寺諸尊像と称名寺光明院大威徳明王像―
また、巻末には全作品の詳細な解説、論考テキスト「総説 運慶 ―中世密教と鎌倉幕府―」、「吾妻鏡」運慶関係史料の活字起こし24件、運慶年表などを収録した、大変貴重な資料本です。
【ごあいさつ】より
神奈川県立金沢文庫は、昭和五年に昭和天皇の御即位を記念し、北条実時創建の金沢文庫を顕彰・継承するために設立されました。本年度は設立80周年を迎えることができました。そこで、金沢文庫ではこれを記念する特別展「運慶―中世密教と鎌倉幕府―」を開催することとなりました。
仏師運慶は、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて活躍した、世界的に知られた仏師であることは言うまでもありません。その卓越した技量による力強い作風は、鎌倉という新時代に相応しいものとされます。しかし一方で、運慶の真作は、その高名さとは対照的に数えるほどしか現存しておりません。本展覧会では、数少ない運慶作品のうち、初作として著名な奈良・円成寺の大日如来坐像をはじめとして、合計七体の作品を展示する、またとない機会となりました。
この夢のような企画が実現しましたのは、神奈川県立金沢文庫で保管する称名寺光明院所蔵の大威徳明王像が、平成十九年春に保存修理により取り出された像内納入品の奥書から、運慶が建保四年(一二二六)に造立した最晩年作であることが判明したことが大きいといえましょう。このことにより、金沢文庫は全国で唯一、恒常的に運慶作品を保管する公立博物館となりました。しかし、実は金沢文庫でお預かりする膨大な称名寺聖教群の中には、運慶の造像・修理関係の重要史料が多数含まれていることも見逃せません。すなわち、本展覧会は、運慶仏とその重要関連史料を結びつけながら、これを一般の方々に広く知っていただくことも、目的の一つとしております。
最後になりましたが、本展覧会の開催のためにご協力を賜りました関係寺社ならびに関係機関の各位、監修をお願いいたしました清泉女子大学教授山本勉先生には、心から厚くお礼申し上げます。
【目次】小見出しも紹介します
ごあいさつ
序説 大日如来像と運慶 山本勉
円成寺像 真如苑像 光得寺像 神護寺講堂像と大弐局発願像
図版・コラム
円成寺
願成就院
《コラム》願成就院蔵像内納入銘札と心月輪 川瀬由照
五輪塔形銘札と舎利孔 運慶の像内納入品、五輪塔と月輪 願成就院の銘札と失われた心月輪
浄楽寺
真如苑
光得寺
滝山寺
《コラム》運慶作品の荘厳金具 ―流山寺諸尊像と称名寺光明院大威徳明王像― 三本周作
東大寺
称名寺光明院
「称名寺聖教」所収運慶関係史料
東寺講堂御仏所被籠御舍利員数/東寺講堂御仏御舍利員数/東寺講堂仏共被籠真言/被籠東寺講堂仏真言/讃仏乗抄
総説 運慶 ―中世密教と鎌倉幕府― 瀬谷貴之
はじめに 円成寺大日如来坐像 円成寺をめぐる人々と大日如来像 大伝法院大日如来像と東寺講堂大日如来像 願成就院と勝長寿院 東国武士と奈良仏師 願成就院の諸像 浄楽寺と和田義盛 浄楽寺の諸像 運慶の空白期と鎌倉幕府 東大寺大仏殿諸像再興と鎌倉幕府 東寺講堂諸尊修理 運慶をめぐる人々―源頼朝、分覚、性我 高野山一心院不動尊と行勝 滝山寺をめぐる人々 滝山寺の諸像と東寺講堂像模刻の意義 神護寺の復興と頓挫 宮廷と運慶 鎌倉幕府と晩年の運慶 運慶の終焉とその造仏 運慶伝説と鎌倉
作品解説 瀬谷貴之
「吾妻鏡」運慶関係史料
運慶年表 山本勉
参考文献
出品目録
【序説】より一部紹介
大日如来像と運慶 山本勉
神奈川県立金沢文庫で、これほど充実した「運慶展」が実現するとは、少し前まで誰が想像しただろう?今回の展示が、堂々と「運慶展」を名乗れるのは、もちろん、2007年、運慶作と確定できる作品の半世紀ぶりの発見として、金沢文庫の担当者を雀躍させた光明院大威徳明王像(金沢文庫保管)の存在も抜きにはできないのだが、運慶の初作として名高い、奈良・円成寺の国宝大日如来像、そして足利樺崎寺に伝来した、運慶作と目される二躯の大日如来像の同時出陳がかない、運慶にかかわる大日如来像三躯が一堂に会することになったのが、何といっても大きい。ここでは、この三駆を中心に、運慶の造像史上における大日如来像の意義の一端にふれたいと思う。
【目録】より一部紹介 制作年の西暦、寸法、国宝・重要文化財指定掲記載
大日如来坐像 運慶作 安元二年 一個 奈良・円成寺
和州忍辱山円成寺縁起 江戸時代 一巻 奈良・円成寺
五輪塔形銘札 文治二年 二枚 (矜羯羅童子像分)静岡・願成就院
不動明王立像 運慶作 文治五年 一個 神奈川・浄楽寺
毘沙門天立像 運慶作 文治五年 一張 神奈川・浄楽寺
厨子入大日如来坐像 鎌倉時代初期 栃木・光得寺
大日如来坐像 鎌倉時代初期 東京・真如苑
帝釈天立像 伝運慶洪慶作 正治三年 愛知・滝山寺
旧聖観音菩薩立像 装飾金具一括 正治三年 愛知・滝山寺
滝山寺縁起寛永二十年 一冊 愛知・滝山寺
金剛力士立像 阿形像 金剛杵材銘文(展示は模造)建仁三年 一点 奈良・東大寺
金剛力士立像 像内納入品 一括 建仁三年 奈良・東大寺
東大寺続要録 室町時代 一冊 奈良・東大寺
秘抄(称名寺聖教のうち) 鎌倉時代 一冊 神奈川・称名寺(神奈川県立金沢文庫保管)
大成徳明王像 運慶作 建保四年 神奈川・称名寺光明院(神奈川県立金沢文庫保管)
舞楽面 鎌倉時代初期 二面 (陵王) (抜頭)神奈川・瀬戸神社
東寺講堂御仏御舎利員数(称名寺聖教のうち)鎌倉時代 一巻 神奈川・称名寺(神奈川県立金沢文庫保管)
東寺講堂仏共被籠真言(称名寺聖教のうち)鎌倉時代 一帖 神奈川・称名寺(神奈川県立金沢文庫保管)
被籠東寺講堂仏真言(称名寺聖教のうち)鎌倉時代 一紙 神奈川・称名寺(神奈川県立金沢文庫保管) 鎌倉時代 四帖
讃仏乗抄「大仏供養」「興福寺北円堂勧進状」「興福寺政所下文」(称名寺聖教のうち)鎌倉時代 四帖 神奈川・称名寺(神奈川県立金沢文庫保管)