大型図録本 長次郎 古楽焼 作品集 写真集 解説 箱書 在銘 日本陶磁全集20 48点88図 黒楽茶碗 赤楽茶碗 宗味 常慶
CHOJIRO WARE,THE FOUNDER OF RAKU WARE
中央公論社
林屋晴三 編
1976年
80ページ
約34×27×2cm
函入 ハードカバー
作品図版フルカラー 解説参考図版モノクロ
※絶版
フルカラー大型図録本、長次郎 古楽焼図鑑。函入大型本。
千利休の到達した侘茶の精神を造形化したといわれる古楽焼。長次郎、宗味、常慶の作品群、
厳選された国内最高峰の名品優品48点、88図を、作者と作風を追って紹介。
全作品の詳細な説明、箱書き、茶会記にみる長次郎茶碗使用年表ほか論考テキストも充実の一冊。
黒楽茶碗銘大クロ、俊寛、ムキ栗、次郎坊など、赤楽茶碗銘無一物、銘一文字、銘道成寺、銘白鷺、太郎坊、二郎坊など主要な作品は高台部分写真も掲載。
収録作品の配列は、桃山時代(16世紀後期~17世紀初期)を中心に、作風の展開のさまがわかるように掲載、
写真に加えて、巻末には全作品の寸法、全作品の解説。
作品名については、全作品に英文表記あり。また、巻末に英文の論考テキストも収録。
美術館・博物館所蔵などの銘品から、
めったにお目にかかることのできない個人蔵の銘品優品を多数カラーで写真解説したもの。
斯界の研究第一人者による解説論考テキストは、参考作品の写真を多数もちいてその器形、様式の展開をていねいに考察。
巻末のやきもの風土記は、十四代楽吉左衛門氏を訪問、長次郎最初の作・獅子瓦に千利休との出会いをみる。また『千利休』著者の村井康彦氏を訪ねて、ゆがみ茶碗ハタノソリタル茶碗への見解など、利休ゆかりの寺院など、
こちらも楽しく内容充実の読み物。
本書は大型本のため、各作品の写真も大きく、細部まで見て楽しむことができる、
陶芸家、茶道具、古陶磁、やきものの絵付け、デザイン、古陶磁、骨董品愛好家等に必携の大変貴重な資料本です。
【目次】
作品カラー写真図版
概説 侘の造形 林屋晴三
はじめに 「草」の茶碗 真行草の茶碗 今焼茶碗 利休好みとその周辺 長次郎工房の性格 長次郎茶碗の作風(大クロ、北野黒、ニ郎坊、桃花坊、俊寛断面図) 楽焼の系図
作品解説 林屋晴三
やきもの風土記20 角田守男
利休と長次郎の出会い 秀吉と利休 時代を先取りした利休好み
茶会記にみる長次郎の茶碗(使用年表)
参考文献
作品目録
英文梗概 A Pagent of Japanese Ceramics CHOJIRO WARE RAKU
英文目録 LIST OF PLATES
【凡例】より
本巻には桃山時代(16世紀後期~17世紀初期)を中心に、長次郎焼の作品48点、88図を収録した。作品と図版の数え方は、原則として同一作品で異なる角度から見た図版のある場合、これを一点二図とし、一括して名称を付した。
収録作品の配列は、伝来関係、作風によって展開し、作者名は、その作品の箱書付によった。
巻末には英文による梗概、および図版目録を併載した。
ほか
【概説】はじめに より一部紹介
長次郎作として伝えられた茶碗、いくつ現存しているかまだ判然としないが、私は30年ほどの間に少なくとも7、80碗は手にした。長次郎などというものをめったに目にすることのできなかった昔と追って、第二次大戦後は私のような者でも、古来名の高い長次郎の茶碗はほとんど拝見し得たのであるから、まことに恵まれた時代に遭遇したといえる。
長次郎の茶碗は、いずれも手捏ねで、一つ一つ丹念に作られたものであったといえるが、それでも、本当に力のこもった優れた茶碗となると数は少ない。しかし興味深いのは、(中略) 現存する長次郎の茶碗のなかで、私が最も心ひかれるのは「無一物」「大クロ」「一文字」の三碗であるが、「大クロ」と「一文字」はいずれも利休ゆかりの茶碗で、「大クロ」は利休から少庵・宗旦さらに江岑宗左と伝り、「一文字」には茶碗の見込に利休が「一」の文字と判(花押)を朱漆でしたためた跡が残っていて、おそらく二碗とも利休自身が茶を飲んだにちがいない茶碗である。(以下略)
【茶会記にみる長次郎の茶碗(使用年表)】凡例より
*本年表は、茶会記に長次郎の茶碗と思われるものが初出する天正期以降慶安年間までの長次郎茶碗の使用記録を、茶会記中の「今ヤキ茶ワン」「ヤキ茶ワン」などがこれに該当するものとして、左記の文献史料から摘出、作製したものである。
1「松屋会記」(「茶道古典全集」第九巻所収)
2「天王寺屋会記」(「茶道古典全集」第七・八巻所収)
3「今井宗久茶汲日記抜書」(「茶道古典全集」第十巻所収)
4「宗湛日記」(「茶道古典全集」第六巻所収)
5「織部茶会記」(「註釈古田織部会記」)
「南坊録」「利休百会記」は割愛した。
*本年表は上段から、西暦・年号・年月日・茶碗名・使用者・会配名の順に配列し、その要領は左のとおりである。
1茶碗と使用者の名は、原則として原文に拠り、筆者の按注は別に括弧〔〕をもって示し。本文と区別した。
2会記名は略称を用いた。久政・久好・久重は「松屋会記」所載の記事であり。宗及・宗凡は「天王寺屋会記」、宗久は「今井宗久茶汲日記」、宗湛は「宗湛日記」。織部は「織部茶会記」を指している。
【作品目録】一部紹介、全作品の寸法記載
獅子瓦 長次郎
赤楽茶碗 銘無一物 長次郎 重要文化財 頴川美術館
黒楽茶碗 銘大クロ 長次郎 重要文化財
赤楽茶碗 銘道成寺 長次郎
赤楽茶碗 銘白鷺 長次郎
赤楽茶碗 銘一文字 長次郎
黒楽四方茶碗 銘ムキ栗 長次郎
黒楽茶碗 銘北野黒 長次郎
黒楽茶碗 銘満こも 長次郎 藤田美術館
赤楽茶碗 銘三輪 長次郎
黒楽茶碗 銘次郎坊 長次郎
黒楽茶碗 銘桃花坊 長次郎
赤楽茶碗 銘太郎坊 長次郎
赤楽茶碗 銘二郎坊 長次郎
黒楽茶碗 銘禿 長次郎 不審菴
黒楽茶碗 銘あやめ 長次郎 箱根美術館
黒楽茶碗 銘面影 長次郎
赤楽茶碗 銘つつみ柿 長次郎
黒楽茶碗 銘俊寛 長次郎
黒楽筒茶碗 銘杵ヲレ 長次郎
黒楽茶碗 銘蝸牛 長次郎
黒楽茶碗 長次郎
黒楽茶碗 銘草庵 長次郎
黒楽茶碗 銘尼寺 長次郎 東京国立博物館
黒楽茶碗 銘五月雨 長次郎
赤楽茶碗 銘枝柿 長次郎
赤楽茶碗 銘聖 長次郎
赤楽平茶碗 長次郎
黒楽平茶碗 銘隠岐島 長次郎
黒楽茶碗 銘天狗 長次郎 梅沢記念館
黒楽茶碗 銘三国一 長次郎
黒楽茶碗 銘志は栗 常慶
黒楽茶碗 常慶
黒楽茶碗 銘ホトトギス 常慶 藤田美術館
黒楽茶碗 銘鉄拐 常慶 滴翠美術館
白楽茶碗 常慶
赤楽茶碗 銘小手巻 常慶
黒楽茶碗 銘樌垣 宗味
黒楽茶碗 銘徳若 宗味
黒楽茶碗 銘力足 道安黒
二彩瓜図平鉢 長次郎 東京国立博物館
三彩獅子香炉 宗慶 梅沢記念館
黒楽口寄香炉 長次郎
黒楽獅子牡丹置上香炉 常慶 東京国立博物館
白楽阿古陀形香炉 常慶
黒楽金彩獅子香炉 常慶 滴翠美術館
白楽獅子香炉 常慶 東京国立博物館
灰器 長次郎
【著者について】
林屋晴三(刊行当時の情報です)
一九二八年(昭和三年)、金沢市に生れる。
現在、東京国立博物館工芸課長兼陶磁室長。
東洋陶磁学会常任委員。
著書 「日本の陶磁 全七巻」、「原色愛蔵版日本の陶磁 全十四巻」(以上中央公論社)、「高麗茶碗」(平凡社)。共著「中国古陶磁全二巻」(毎日新聞社)。ほか多数。
監修 谷川徹三
編集委員 佐藤雅彦
坪井清足
楢崎彰一
林屋晴三