自宅保管の品です。大変美品ですが、古いもので経年変化はございます。ご理解頂ける方にご検討をお願い申し上げます。
「おやじさん、こんなにも“うらやましい死に方"ないですよ」
1993年9月10日、「ハナ肇とクレージーキャッツ」のリーダー・ハナ肇は肝臓癌により逝去した。享年63。
壮絶な闘病生活を支えたのは、かつて付人を務めた著者・なべおさみだった。
クレージーキャッツの面々、ザ・ピーナッツ、布施明らハナ肇を囲む人々が病室で繰り広げる、可笑しくて哀しいやりとりの数々。
そして即興で演じられる「シャボン玉ホリデー」のコント……。
師匠の「うらやましい死に方」に寄り添った日々を、克明に綴った一冊。
単行本に加筆・修正、花田紀凱の文庫版解説付き。
目次
プロローグ~私はハナ肇の付人でした~
第一章 おやじの我儘
第二章 スターダスト
第三章 肉体と魂
エピローグ~うらやましい死に方~
文庫版あとがき~ほんとうに~
文庫版解説 花田紀凱
レビューより
「あれほど強いハナ肇も、酒で人生を終えさせられてしまう。六十そこそこでだ。」作品中の著者の言葉だ。ハナさんは平成五年二月に肝臓癌で入院、肝臓の三分の一を切除した。長年のアルコール摂取により肝硬変となり、その肝硬変に高頻度で併発する肝臓癌になってしまったのだ。
当時は癌であることを本人に伝えないことが多く、胃潰瘍の手術だと伝えていた。しかし肝臓の働きがかなり悪くて、禁酒しなければ命に関わることは、入院中医師は絶対伝えていたはず。たぶんハナさんは無視したんだろう、その半年後食道静脈瘤破裂で再入院する。食道静脈瘤破裂は肝硬変に伴う病である。だからハナさんの病気の基本には不摂生がある。最期は肝不全に肺炎を併発したと思われる。
この話のヤマ場は、布施明が入ってきて往年のヒット作「おかゆ」のコントを、そのとき病室にいた仲間がアドリブでしたときのことだろう。「お父っつぁん、お粥ができたわよ」とザ・ピーナツの二人がいえば、「シャボン玉ホリデー」で放映された情景が浮かんでくる。植木等さんが最後に出てきて「お呼び出ない? こりゃ又失礼いたしました」で終るギャグは、最初に布施明が病室に入ってくるときに使っている。ハナさんも含めそのとき病室にいた人々は至福のときを迎えたことだろう。 特に説明はないが、表紙カバーの写真がいい。