京都出身のアーティストCuusheが音楽活動への復活を高らかに宣言するニューアルバムは、これまでのドリームポップ作品の霧を脱ぎ捨て、現実の輪郭を明確に示します。冷たい朝の光が差し込む「Hold Half」から始まり、空間に歪むギター、幾重にも重なるコーラス、宇宙と交信しているかのようなアナログ・シンセサイザーというCuusheの特徴的なサウンドに、成熟したオルタナティブなスピンを加え、これまで以上に生命力に満ちた音楽が生み出されました。 UKガラージを解釈したかのようなリズムと共に雨の夜の雰囲気を醸し出す「Emergence」や、ドラムンベースが炸裂する「Not to Blame」、シャッフルのような「Drip」では荒々しく叩かれるスネアとビートが、90年代のレイヴ・サウンドを彷彿とさせるかのような、エネルギッシュな新境地を開拓しています。この強力なパーカッシブな基盤を持った「WAKEN」は、自己拡張と繰り返す連帯/離散の鼓動の中で、自由へのエクササイズとなっています。かつてぼんやりとしていたCuusheの声は、今ではより強く、より大きく、よりクリアになり、光に向かって前を向いているのです。