
あまり出回ることのない地域の布です。技術的に大変優れた一枚ですが、以下に述べる理由により、残念ながら参考資料として長年保管していました。
これは、インドネシア スマトラ島南部 パセマ・ベンクル地方の布で、大きさは約149㎝×48㎝、19世紀末から20世紀ごく初頭にかけての古布です。この地域の布は数がとても少なく、外部に出ないため、あまり知られていませんでした。(10枚目参考画像に掲載した35年前の専門書解説をお読みください)
最初におことわりしておきます。この布が参考品である理由は、6枚目画像の2箇所の青い矢印部分で継ぎ合わされているためです。元は、10枚目参考画像のように一枚布でした。おそらく、中央部分に大きな傷みがあり、その部分を切って縫い合わせたのでしょう。3分割した8枚目画像(青い矢印部分)を見ると縫い目がよく分かります。
継ぎがあっても優れた布で、当方がコレクションに入れていたのは、以下の3つの理由からでした。
まず、天然染料100%、非常に繊細に紡がれた木綿糸で織られています(2枚目画像)。一本一本太さの違う糸で古布であることがお分かりいただけます。現在ではこのような細い糸を紡ぐ技術はもうありません。繊維の乾燥状態から19世紀末は確実にあるかと思うのですが、厳しく見て〜20世紀初頭としました。高温多湿のインドネシアで、これほど古い染織はあまり残っていないものです。
次に、緯糸紋織で織り込まれた両端の幾何学紋様(3枚目画像)が、実に繊細である点です。裏側(4枚目画像)から見ても美しいと思います。専門書掲載の布でも両端の紋織は、10枚目画像レベルです。比較する布が手元にありませんが、時代が下るにつれて文様が大雑把になってきます。浮き出るように、これほどきっちりと織り上げるのは、非常に高い技術を持った織り手にのみ可能なことです。
最後に、中央部分(5枚目画像)にまで紋織がなされている点です。通常は、この中央部分は、無地であることが多いものです。織り機ではなく手作業でこのような細かな紋織を施すのは、とても手間がかかったことでしょう。
状態ですが上記の継ぎの他に、7、9枚目画像の両端部分に補修や傷みがあります。傷みが目立つように白布上で撮影しましたので、小穴は白い部分をご確認ください。黄色で囲んだ部分に補修、上下両端(水色矢印部分)に傷みがあり、縁を縫って折り返されています。古布であることをご理解の上、ご入札をお願いいたします。
繊維にリキがあり風合いも良いので、部分裂を採って仕覆として生かしていただくのも良いのではないでしょうか。探してもなかなか無い布です。整理のため、大変リーズナブルなお値段としていますので、古布のお好きな方がいらっしゃいましたら、よろしくお願いいたします。
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