ブラジル南部の港町ポルト・アレグレ生まれ、現在はサンパウロを拠点に活動する気鋭の男性SSW/プロデューサー、ホドリゴ・パナッソロのデビュー作『ヴェルソス・ドブラドス』。普段は、ミュージカルのプロデュースや、ギター/ベース奏者として活動する彼が、初めてソロ名義で吹き込んだのが本作です。程よい切なさが滲み出るメロディ、ジャジーでメロウなアレンジが光る演奏、雰囲気抜群の少し枯れた雰囲気の歌声で聴かせる極上のサンバの数々は、どこを聴いても素晴らしいの一言。まさしく『知られざる才能』と言うべき、逸材の登場です。

派手さは無いのですが、そのメロディセンスの良さはオープニングの「01. クワーズィ・パラレーラス」を聴いて頂ければ伝わるかと。揺らめくイントロダクション、穏やかなギターのフレーズ、語りかけるような歌い口、グッと心に響く旋律、全てが絶妙のバランスでミックスされたメロウサンバの名曲です。他の楽曲も一様にクオリティが高く、枚挙に暇がありませんが、プロダクション・デシネからデビュー作がリリースされ未だに好セールスを記録し続ける同地出身ンの女性SSW、ジゼリ・ヂ・サンチが参加した、美しく感動的な「05. カンソン・ドゾーリョス」、緩やかな弦とピアノの絡みも絶品な静かな名曲「08. オーリャ・ア・ルーア」、艶っぽい歌声が印象的な女性Vo. Ana Lonardiが歌う、哀愁のハーモニカ入の「09. インソニアーダ」、トロンボーンとエレピを軽快なリズムに乗せた「10. コラソン・ジェラードゥ」など、全ての楽曲の素晴らしさ、驚くべきクオリティはもちろん、アルバムを通じて聴かせる統一感、バランス感覚にも非常に優れた脅威の名作です。

A式の紙ジャケット仕様です。マットな質感の上質紙で仕上がった、心地良い風合いも良い塩梅です。