永禄2年(1559年)に書かれた自筆の「新古今和歌集」です。
この和歌を書いた筆者は不詳ですが、京都の公家が書いたような流暢で筆力のある書体です。
古筆の右上に「寿禎」の落款印がございます。仙台藩医師・木村寿禎が所蔵した際に押印したものです。
<古筆の状態について>
厚紙に貼られた状態で額縁に収められております。経年による虫食いがございます。
<送付方法>
送料は落札者様のご負担となります。「おてがる配送ゆうパック」で発送いたします。
<寸法>
(額縁)縦32.7cm×横23.8cm
(古筆切)縦24.7cm×横16.4cm
<読み下し文>
(忍びて語らひける女の親、聞きていさめ)侍けれは 参議篁
数ならはかゝらましやは世の中にいとかな(悲)しきはしつのをたまき(和歌番号1424)
題しらす 藤原惟成
人ならはおも(思)ふ心をいひてましよしやさこそはしつのをた巻(まき)(和歌番号1425)
読人しらす
我よはひ(齢)おとろ(衰)へゆけは白妙の袖のなれにし君をし
そ思(おもふ)(和歌番号1426)
いま(今)よりはあ(逢)はしとすれやしろたへ(白妙)のわか衣手のかわ(乾)く時なき(和歌番号1427)
玉匣(くしけ)あけまくお(惜)しきあたらよ(夜)を衣手かれ
て独(ひとり)かもね(寝)ん(和歌番号1428)
あ(逢)ふことをおほつかなくてす(過)くす哉(かな)草は(葉)の露の置(おき)かはるまて(和歌番号1429)
秋の田のほ(穂)む(向)けの風のかた(片)よりに我(われ)物おも(思)ふつれなき物を(和歌番号1430)
<現代語訳>
(ひそかに契りあっていた女の親が聞きつけて禁じ)ましたので 参議篁
わたしが人の数に入るような相当の身分の男であるならば、 このようなことがあろうか、ないはずだ。たいそう悲しいのは、身分の低い男であることだ。(和歌番号1424)
題知らず 藤原惟成
もし、わたしが、もうすこし人間らしい人間であるならば、思う心をいってしまうであろうに。たとえ、このように身分の低い男であっても。(和歌番号1425)
読人しらず
わたしの齢が衰えていくので、昔、すっかり慣れ親しんでいたあなたを思うことです。(和歌番号1426)
あの人が、今からはもう逢うまいとするからか、わたしの袖が、涙で乾く時のないことだ。(和歌番号1427)
明けようとすることの惜しいもったいないこの夜を、いとしい妻の袖を離れて、ひとりで寝ることであろうか。(和歌番号1428)
逢うことを気がかりにして過ごすことよ。 草葉の露が、今夕、新しく置きかわるまで。(和歌番号1429)
秋の田の穂をなびかせる風がいっぽうへ向かって吹くように、いちずに、あの人に心が寄って、わたしはもの思いをしている。あの人は薄情であるのに。(和歌番号1430)
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