本作『George & Sleepy』は1969年にビクター<日本のジャズ>シリーズの1枚としてリリースされたもの。当時の解説には「懐かしのジョージ川口ビッグ・フォアの再現を試みたレコード」とあるが、では本作が単なる懐古的な作品かというと、決してそうではない。「Lover」や「Charade」などはあの頃のビッグ・フォアを彷彿とさせるもので文句なしに楽しいし、更には洗練されたグルーヴ感のある「Tuesday Samba」やエキゾチックでビートの効いた「ベトナム」など、今日的な手法/音楽性を巧みに取り入れた曲も魅力的だ。ベテランならではの懐の深い演奏でジャズの今昔の魅力を伝えた痛快な作品である。 text by 尾川雄介 (UNIVERSOUNDS / DEEP JAZZ REALITY)