【基本情報|Release Information】
風のかたちをなぞる録音 名もなき航路のためのジャズ
レーベル:Eastworld
品番:EWJ-90035
フォーマット:LP, Album, Promo, Stereo
国:Japan
リリース年:1985年
タグ:Jazz, Piano Trio, Japan, Studio Work, Acoustic, Lyrical
【構造と文脈|Structure & Context】
山本剛トリオ『St. Elmo』は、1985年に東芝EMIのEastworldレーベルからリリースされた、ピアノトリオによる静謐なスタジオ録音作品です。録音は飯野ホール、マスタリングは東芝EMI社内、エンジニアは菅野沖彦、マスタリングは竹内昭吾という布陣。高精度なアコースティック録音環境において、室内残響と楽器の呼吸が精妙に捉えられた一枚です。
トリオの編成は、山本剛(P)、稲葉国光(B)、森慎二(Dr)。「But Not For Me」「Moonlight In Vermont」「If I Were A Bell」などのスタンダードを中心に据えつつ、オリジナル曲「St. Elmo」ではメロディと空間のあいだに生成される微細なゆらぎが、この録音物の核となっています。ピアノの打鍵は乾きすぎず、抑制された抒情性の中に、風のように通り過ぎるブルースの感触が宿っています。
タイトル「St. Elmo」は、山本の岡山の知人が所有するヨットに由来するというエピソードが知られていますが、それは単なる私的記号ではなく、音楽そのものに宿る漂泊と帰属のアンビバレンスを象徴しているかのようです。これは「セント・エルモの火(St. Elmo’s Fire)」=嵐の前兆とされる海上の放電現象とも連想的に重なり、音が現れる瞬間の電位差=録音の霊的身体性へと接続されていきます。
作品全体を貫くのは、ジャズ・スタンダードの再演という枠を超えた、響きそのものを聴くことへの強い欲望です。反復されるメロディの合間に現れる余白、ペダルの残響、擦れたシンバルの粒。これらは記号的構成ではなく、聴取という行為が一瞬の身体運動であることを示す軌跡として浮かび上がってきます。
【状態詳細|Condition Overview】
メディア:NM(目視・試聴ともに極めて良好)
ジャケット:VG+(軽微な縁擦れ・表面に薄い汚れあり)
付属品:インサート付属、白ラベル見本盤仕様(非売品)
【支払と配送|Payment & Shipping】
発送:匿名配送(おてがる配送ゆうパック60サイズ)
支払:!かんたん決済(落札後5日以内)
注意事項:中古盤の特性上、微細なスレや経年変化にご理解ある方のみご入札ください。完璧な状態をお求めの方はご遠慮ください。重大な破損を除き、ノークレーム・ノーリターンにてお願いいたします。