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歴史小説作家の津本陽による"経営の神様"・松下幸之助伝。「不況もまた良し」（幻冬舎刊・初版）、読み易いハードカバーです。状態は、全般に良好です。送料はクリックポストで185円です。

★内容：　「経営の神様・松下幸之助」を巡る長編小説という形態をとりながらも、その生涯を史実に基づいて追いかけ、彼一流の経営哲学を浮き彫りにした。資本主義経済にとって、好不況の波は避けることができない。しかし、不況下での努力や創意工夫が企業を鍛え、次代に生き残るべき存在か否かを決定づける。すなわち不況は、時代や市場変化への対応をキーとした「ふるい」であり、資本主義自体の自浄作用なのである。幸之助はこのことを誰よりも熟知していた。つまり、幾多の逆境をビジネス・チャンスとして捉え、さらなる成長へのバネへと転じてきたのだ。いち早く変化を読み取り柔軟な対応を図る「揺るぎない日和見主義」と、自らの「強運」への確信、そして強力なリーダーシップが成功の秘訣である、と著者は指摘する。幸之助は、会社に結集したさまざまな人材の個性や能力を尊重し、彼らのポテンシャルの最大化を図ることこそが企業体力を築き危機を好機へと転じる原動力である、という強い確信を抱いており、それが独自の教育論の基盤ともなっていったのである。9歳で和歌山の農村から大阪に出て、丁稚奉公から身を起こした天才経営者は、「神の見えざる手」の振る舞いを皮膚感覚で察知し、時代変化を味方につけながら、成長への王道を歩んできた。本書は、小さなビジネスの火種を「世界の松下」に育て上げる過程で直面したエピソードを丁寧に拾い集めながら、松下幸之助の人物像を描いた力作である。（太田利之）

★著者、津本 陽は1929年、和歌山県生まれ。旧制和歌山中を経て、東北大学法学部卒。同人誌『VIKING』で活動し、掲載作「丘の家」が第56回直木賞候補。1978年、故郷和歌山を舞台にした『深重の海』で第79回直木賞を受賞。題材は主に剣豪や戦国大名、幕末英傑を主題にした歴史小説が多い。膨大な資料をたどり、小説の中で逐次資料の内容の提示と解説をしながら話を展開してゆく形式が多い。文体は情緒性を排した重厚で簡潔な表現が主体。特に、剣道3段、抜刀道5段の腕前を持ち『明治撃剣会』などの剣豪小説で人気を得る。歴史小説では、織田信長を題材とした「下天は夢か」がベストセラーとなり、他に豊臣秀吉、徳川家康、武田信玄、伊達政宗、前田利家等についても執筆。また熱心な浄土真宗門徒であり、『弥陀の橋は 親鸞聖人伝』で親鸞を描き、出身地に因んで、『雑賀六字の城』『信長の傭兵』で紀伊の雑賀一族を描いた。幕末期では『勝海舟 私に帰せず』、『西郷隆盛　巨眼の男』、『龍馬』を描き、中国ものとして『小説　秦の始皇帝』、『則天武后』を描いている。直木賞のほか、1995年『夢のまた夢』で第29回吉川英治文学賞、1997年に紫綬褒章、2005年菊池寛賞。

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